Research Abstract |
1.ヒト胎児肝から得られた単核球をEBウイルスで形質転換することにより、未分化型リンパ球表面マーカー(CD2,CD19)を有し、胚型TCRおよび胚型Ig遺伝子構造を有し、かつ未だRAG遺伝子を発現していないクローン化リンパ球前駆細胞株(FL8.2.4.4)を樹立した。 2.FL8.2.4.4細胞とマウス骨髄由来ストローマ細胞株PA-6の共培養の実験系を用いて以下のことを明らかにした。 (1)PA-6との共培養のみではFL8.2.4.4にRAGの発現は誘導されない。 (2)種々の混合サイトカイン(IL-2,IL-3,IL-6,IL-7,GM-CSF,SCF)存在下で培養すると、FL8.2.4.4細胞に12時間以内にRAGの発現が誘導される。 (3)個々のサイトカインについては、IL-3,IL-6,IL-7がRAGの発現誘導に関与し、これらのサイトカインの間に相乗効果が認められる。 (4)RAGの発現誘導にFL8.2.4.4細胞とPA-6の接着が必須である。 (5)FL8.2.4.4細胞をパラホルムアルデヒドで固定したPA-6細胞と共培養してもFL8.2.4.4にRAGの発現が誘導される。 3.ヒトゲノムライブラリーから、RAG-1cDNAを用いてRAG-1ゲノム遺伝子をクローニングし、その構造を解析し以下のことを明らかにした。 (1)RAG-1は約4kbのイントロンをはさむ2つのエクソンからなる。 (2)RAG-1はTdT遺伝子やmb-1遺伝子と同様のnon-TATA遺伝子構造である。 (3)RAG-1は複数(少なくとも4箇所)の転写開始点を持つ。 (4)塩基配列が決定されたプロモーター領域(580bp)に、Ets-1,Lyf-1,Ig-enhancer box,GATA,NF-IL6などの転写調節蛋白の結合配列が存在する。
|