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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
セレン(Se)は必須微量元素であり,Se欠乏に伴う免疫能の低下など種々の機能障害が知られている。また,無血清培地での細胞培養には,インスリン(I),トランスフェリン(T)と共に亜セレン酸ナトリウム(S)の添加が必須であるとされている.グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)がSeを活性部位に含有する抗酸化酵素であることから,Seの添加の理由はGPxによる活性酸素除去能の保持と推測されている.しかし,これを証明した報告はない.我々はSeの細胞生存維持作用の機構を分子レベルで解明するため,まず,Seに依存した細胞生存維持を観察する系を確立した.また,Se欠乏細胞のレドックス制御系,細胞死の形態やSe含有蛋白について調べた. ITを含むRPMI1640無血清培地(IT培地)でTリンパ球腫Jurkatを培養した.細胞の生存率は36時間までは100%だが,その後急速に低下し72時間では10%以下となった.一方,ITにSeを加えたITS培地では72時間後でも100%だった.IT培地で36時間培養した細胞にSeを添加すると,添加したSe濃度に依存した増殖の回復が認められ,50nMで最大となった.IT培地で36時間培養した細胞ではITS培地の場合と比べ,より低濃度のH_2O_2添加で6時間後に細胞死が引き起こされた.このSe欠乏細胞のGPx活性はITS培地で培養した細胞の30%に低下していた.これらの結果はSe欠乏に伴う活性酸素消去能の低下を示唆している.Se欠乏細胞を電子顕微鏡で観察すると,核のクロマチンの凝縮や断片化等アポトーシスに特徴的な形態が認められた.また,^<75>Se標識細胞をSDS-PAGEで解析すると,GPx以外に十数種以上のSe含有蛋白の存在が認められた.現在,これらの細胞内分布,Se欠乏に伴う減少率を調べており,細胞生存維持に関与するSe含有蛋白を特定するべく検討中である.
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