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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
造血幹細胞の増殖分化に密接な関連を有する骨髄間質細胞の役割を明らかにするため,間質系細胞の有する膜糖鎖分子種の発現がin vitro骨髄再構成系で造血巣の形成,幹細胞の分化方向の決定にいかに作用するか検索し,ストローマから幹細胞への情報伝達機構を解明することを目的とし検索をすすめた. 1.従来の長期骨髄培養系とともに,樹立した数種のマウス骨髄支持細胞株と骨髄非付着有核細胞とを共培養することにより,in vitroの系で造血巣を形成する長期培養系を確立した.また培養条件を変えることにより骨髄球系(Dexter培養系),あるいはリンパ球系細胞系(Whitlock培養系)の増殖を指示する造血系を個別に選別することができた. 2.これらの系を用い,指示細胞の細胞外マトリックス糖蛋白分子種の発現様式を共焦点レーザー顕微鏡での解析,生化学的手法による解析等で検索したところDexter系に比べWhitlock系でtenascin,fibronectin,lamininなどの発現が増強していた.しかしながら細胞外マトリックスを構成する構造多糖類であるglycosaminoglycan含量に大きな差はみられず,このなかでheparan sulfateの発現も組織化学的に差異はなかった.また膜糖脂質である酸性糖脂質を薄層クロマトグラムで分析した結果これら異なる培養系で糖鎖分子種の組成に顕著な差は認められなかった. 3.支持細胞,幹細胞の接着にかかわる分子種を探る目的で,造血巣(cobblestone island)での糖鎖構造発現について検索したところ幹細胞側にsialyl lewis^a,sialyl lewis^Xの発現が顕著であり,シアル酸を有しないlewis抗原は発現されていなかった.間質細胞側の接着分子種を現在同定中である. 4.今後は間質系細胞・幹細胞の接着,増殖因子の受け渡しにおける糖脂質を含めた糖鎖構造の特異性について再構成系を用い検索し,生理活性糖鎖の細胞内における代謝経路を明らかにすることにより支持細胞から幹細胞への情報伝達作用機構の解明の手掛かりを得たい.
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