新しい低分子量ストレス蛋白質と思われる20kDa蛋白質の構造と機能
Project/Area Number |
06808075
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Cell biology
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
稲熊 裕 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 生化学部, 研究員 (10250250)
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Project Period (FY) |
1994 – 1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | ストレス蛋白質 / 熱耐性 / 熱ショック蛋白質 / リン酸化 / クリスタリン / 筋 / シャペロン / アレキサンダー病 |
Research Abstract |
レンズの主要な構成成分であるαBクリスタリン(以下αBと略す)は筋組織、神経組織などでも発現し、非レンズ組織ではストレス蛋白質として働いていると考えられている。先天性脳疾患であるアレキサンダー病やアルツハイマー病患者の脳や損傷を受けた脳の主にグリア細胞ではαBの発現が増加している。我々は、ヒト骨格筋からαBを精製したところ、αBと同時に精製される蛋白質があり、SDS-PAGEで約20kDa(以下p20と略す)を示した。p20のアミノ酸配列は、αBに高い相同性があり、特にC末端側半分に著しい類似性が認められた。したがって、p20は第3の低分子量ストレス蛋白質であることが強く示唆された。本年度は以下の点について明らかにした。[1]p20は各種の臓器に分布し、特に骨格筋・心筋に多く存在した。[2]ラット後肢筋の発達に伴うp20の変化はこれまでに既に明らかにしたαB,HSP27と比較するとαBに類似し、ヒラメ筋で2週齢から4週齢にかけて急速に増加した。[3]ヒラメ筋においては、坐骨神経切除あるいは腱切断によってp20はαB,HSP27と同様に急速に減少した。一方、長肢伸筋では神経切除のときαB,HSP27が増加したのに対し、p20の濃度に変化は認められず、また腱切断したときもp20,αB,HSP27の濃度に変化はなかった。これらの結果からp20は筋組織の運動と関連が深いと考えられた。[4]ラット横隔膜に熱ストレス(42℃,15分間)を与えたとき、p20はαBおよびHSP27と同様に可溶性分画から不溶性分画に移行した。またp20は、HSP27と同様に熱ストレスによって、重合型から解離型に変化することをショ糖濃度勾配によって明らかにした。さらに、p20は細胞内でαBおよびHSP27とともにヘテロポリマーを形成していることも示した。[5]ラットヒラメ筋のpoly(A)^+RNAからcDNAライブラリを作製し、抗ラットIgG抗体を用いてスクリーニングを行ったところ、約1.3kbのクローンが得られた。このクローンはp20のアミノ酸配列の解析で得られた結果に完全に一致するORF(483bp)を含んだ。ノザン解析では筋組織に発現が高く、その他の臓器にも発現がみられた。また、サザン解析によってp20がsingle geneであることが予想された。p20cDNAプローブを用いてラットgenomicライブラリのスクリーニングを行ったところ、数個の陽性クローンが得られ現在解析中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)