細胞内情報伝達からみたアルツハイマー病の成因と治療に関するヒト死後脳研究
Project/Area Number |
06833009
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
老化(加齢)
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 利和 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50128518)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 寛樹 札幌医科大学, 医学部, 助手 (50260766)
|
Project Period (FY) |
1994
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
|
Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | 老化 / アルツハイマー病 / 脳 / 細胞骨格 / 情報伝達 / G蛋白質 / アデニル酸シクラーゼ / 受容体 |
Research Abstract |
健常人(17-89才)、アルツハイマー病者(DAT)の死後脳及び一部はラットを用いて、脳の情報伝達系の変化を検索し以下の結果を得た。 1)G蛋白質の機能と量:昨年度の研究で加齢に伴いG蛋白質量の変化(特にGiα、Gqαの減少)が生じるものの機能変化はみられないことをWestern blotting、AAGTP結合実験で明らかにした。またDATではG蛋白質量の変化を認めず、機能変化(AAGTPのGsαへの結合低下、GsαとGiαへのAAGTP結合比の低下)が認められることを報告した。今年度は症例を追加して同様の検討を行い、上記の結果を再確認した。 2)アデニル酸シクラーゼ(AC)活性:健常人死後脳のAC活性は加齢により影響を受けなかった。DATの死後脳ではGppHNp刺激性AC活性の低下が観察された、この結果は1)のG蛋白質の機能変化と一致する所見である。 3)チューブリン(Tu)の量と機能の変化:死後脳の細胞膜内Tu量は加齢によって変化せず、DAT群でも変化が見られなかった。ラット脳から精製したTuを用いて観た、Tuからヒト死後脳(頭頂葉領域)のGiαへのguanine nucleotideの転移反応はDAT群で低下していた。またTu-GppNHpによるACの抑制率もDAT群で低下していた。この結果は昨年ラット脳で発見した老化に伴いTuとGi蛋白質との相互作用が減弱するという現象と一致する所見である。また今年度はラット線条体を用いてTuとGs蛋白質との相互作用が老化に伴い減弱することを見いだした。 4)cAMP分解系:^3H-rolipramのphosphodiesteraseへの結合量はDAT群で低下していた。このことはDATにおいてcAMP分解系の変化が生じていることを示す所見である。 5)治療薬の開発:メコバラミンやアミトリプチリンなどの抗うつ薬の一部がG蛋白質に直接作用することを見いだした。G蛋白質に直接作用する薬物が将来抗痴呆薬となりうる可能性について論じた。
|
Report
(1 results)
Research Products
(7 results)