P53欠失マウスを用いた連続骨髄移植法による造血幹細胞不死化に関する研究
Project/Area Number |
06833010
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
老化(加齢)
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
井上 達 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (50100110)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 吉寛 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (80012764)
|
Project Period (FY) |
1994
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
|
Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1994: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 造血幹細胞 / p53欠失マウス / 移植効率 / 移植アッセイ / 分裂寿命 / 幹細胞老化 |
Research Abstract |
生命の老化過程を修飾する遺伝子として、細胞周期を支配する種々の遺伝子群が注目されている。本研究ではその代表的な遺伝子としてp53遺伝子のもつ細胞回転への抑制的作用と腫瘍抑制現象とのふたつの性質に注目し、これらが老化過程で、過去に老化研究注目されたいくつかの実験が、p53欠失マウスを用いたときどのような結果を与えるかを検証することとした。 今回得られた結果の概略は2点であり、短期継代移植では、p53遺伝子のホモ欠失マウスの骨髄細胞由来の造血幹細胞の増殖能や自己再生産能が優位に高かった。また、長期継代移植については、p53遺伝子欠失骨髄細胞の移植を受けたレシピエントに高頻度の造血器系腫瘍が観察された。 すなわち前者については、1967年にSiminovitchが試みて失敗した14日置きの連続骨髄移植を行い、p53欠失マウス由来の骨髄細胞の枯渇(分裂寿命)が起こるかどうかを目安に実験を行った。長期のin vivo継代移植を遺伝子マーカー付きで行った。P53欠失マウスは、相澤慎一熊本大学教授より恵与され、私どもでC57BL/6に戻し交配したものを用いた。移植片マーカーとしてY染色体を移植片マーカーに利用できるようにしたほか、遺伝子欠失操作の際に挿入されているneo遺伝子も併行して検出に用いた。Siminovitchの行った方法をそのままの形で追試した。すなわち骨髄細胞を致死線量照射したマウスに移植し、14日毎にレシピエントの脾を採取し、以下は14日毎に致死線量照射したマウスに移植した。対照群は3週間目で枯渇(extinct)したのに対して、p53欠失マウスでの移植効率は7週に及んでも枯渇を見なかった。しかし、この間、コロニーのサイズが次第に小型化し、p53欠失マウス由来の幹細胞にあっても、分裂寿命が進行していることが窺われた。 長期骨髄継代移植については、ホモ欠失マウスの骨髄を移植した群から、早期且つ高頻度の造血器腫瘍発症を観察しつつある。ヘテロ欠失群では、これよりやヽ発症時期が遅れているが、やはり、野性型骨髄細胞移植群より早く造血器腫瘍発生を観察し始めている。別に進めた、造血幹細胞の放射線感受性試験の結果によれば、p53欠失骨髄幹細胞では放射線障害のアポトーシスをエスケープする脾コロニー形成現象が見られ、これが腫瘍発生の原因となっているものと考えられた。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)