カオス理論に基づく神経疾患に伴う声の変動特性とその可制御性に関する研究
Project/Area Number |
06835004
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
非線形科学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今泉 敏 東京大学, 医学部(医), 助教授 (80122018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新美 成二 東京大学, 医学部(医), 教授 (00010273)
桐谷 滋 東京大学, 医学部(医), 教授 (90010032)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 音声障害 / 声のゆらぎ / カオス / フラクタル / トレモ- / 音響分析 / 痙れん性発声障害 / 中枢性音声障害 |
Research Abstract |
従来の声の音響分析的評価においては発声の可制御性を評価しそれが低下する原因を追求するという視点がなかった。一方、カオス理論に基づく「声のゆらぎ」の研究では、低次の非線形特性から生み出される構造のある変動として把握し、それがどの部位のどのような現象に起因するのかを明らかに出来る可能性がある。そこで本研究では、声のフラクタル性や変動特性、可制御性を評価する分析システムを開発し、それを用いて中枢疾患や喉頭障害に起因する音声障害、声楽のヴィブラートなどの特性を検討し、以下結果を得た。1)疾患群すべてに於いて、基本周波数及び振幅の変動率が大きく、発声の可制御性は低かった。2)反回神経麻痺やラインケ浮腫では速いゆらぎが大きいのに対し、音声振戦、痙攣性発声障害では遅いゆらぎが大きかった。3)音声振戦、痙攣性発声障害は、健常者群、他の疾患群に比較して、変動率は大きいものの比較的規則的であった。ただし、痙攣性発声障害では分散が大きかった。4)歌声ヴィブラートは音声振戦と比較してより周期的・規則的で、両者には有意な差異があった。5)基本周波数軌跡に対して箱計数法によるフラクタル次元で求めると、声の変動率が大きい疾患群内でも差異が生じ、音声振戦などではフラクタル次元は小さくラインケ浮腫では大きな値をとった。一方、痙攣性発声障害では継続的な変動が大きかった。以上の結果から、雑音を含めて比較的速く不規則な変動は、反回神経麻痺やラインケ浮腫など声帯の形態や発声時の音響物理的状態に異常がある場合に生じ易く、比較的規則的な遅い変動は音声振戦など神経系の異常に起因して生起し易いことを示唆された。神経信号の揺らぎと声帯振動系の非線形特性との相互作用が重要な役割を果たすことが示唆された。また、今回開発したシステムで歌声を含めた広範囲な音声の変動特性と可制御性を共通の尺度で多方面から調べることが可能であることが明らかになった。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)