Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Research Abstract |
磁性体中のスピン波を,大電力のマイクロ波によって,パラメトリック励起を行うと,周期倍分岐カオス,間欠性カオス,準周期カオスなどバラエティに富んだカオスが見いだされる.この研究ではイットリウム・鉄・ガ-ネット(YIG)の単結晶球(直径0.84mm)について,磁化容易軸である〔III〕軸方向に磁場をかけてスピン波の準周期カオス探索を行った.スピン波の非線形励起はマイクロ波磁場をスピンに平行にかける平行励起法によって行った.マイクロ波電力がある闘値に達すると熱平衡値を越えてスピン波が増えて,スピン波不安定が起こる.さらに励起を強くするとスピン波強度が時間的に変動する自励発振が起こる.この自励発振のパワースペクトルを探索したところ,2つの周波数成分f_1とf_2を持つ領域が見いだされた.外部磁場が1506Oe,励起電力7.1dBmでは単一周波数f_2の発振であったものが,8.3dBmでは新たに低周波数側に周波数f_1の発振が現れる.さらに励起電力を大きくして行くとf_1とf_2の比が変化して行く,2つの周波数の比が1/2,2/5になったところで位相ロッキングが起こり,ある励起電力の範囲内でこの比が一定に保たれることが観測された.この2つの振動成分を持つ変化を相空間で表すとトーラス面上の運動になっている.このトーラスの断面であるポアンカレ断面を調べると,位相ロッキングが起こっている領域では軌道が点になり,位相ロッキングがはずれた,つまりf_1とf_2の周波数比が非整数となる領域ではポアンカレ断面が丸い輪の形になり,軌道がトーラス面上を埋め尽くすような運動をしている.10.4dBmまで励起電力を強くすると輪がくびれてトーラス面が潰れ,カオスが発生した.このカオスはリターンマップを調べることによっても確認された.
|