Research Abstract |
タイ,シンガポール,韓国における日本人子女の就学前教育の実態と特色を明らかにするために,各国のそれぞれ3,7,6施設,計16施設を対象に質問紙調査,インタビュー,および観察調査を実施した。 各国の日本人子女を対象とした施設は,日本人学校幼稚部,日本に経営母体を置く日本人幼稚園,日本人のみを対象とするローカルの私立幼稚園,日本人に限らないローカルの私立幼稚園に分けられる。教員はシンガポール日本人幼稚園を除いては現地採用方式がとられ,日本人または日系人が多いが,他民族の場合もある。日本人のみを対象としている施設では,保育目標という点では共通性が高いが,保育内容は経営規模,教材のコストなどによって差が認められ,また,保育方法は教員によって当該国の伝統的文化的影響によって違いが認められた。保育内容,方法では当該国の文化に応じた変容が認められる一方で,日本国内以上に「日本的な」内容,方法が採られている場合も多く,これらの共通性を明らかにすることは今後の課題である。また,施設の選択は保護者によって決定され,「日本人社会志向」と「ローカル志向」に大別できるが,その要因は十分明らかにすることはできなかった。これらの方法や内容の違いの子どもへの影響,保護者や教員の考え方などについては,今後さらに詳細な検討が必要と考えられる。
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