Project/Area Number |
06852007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
International law
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山形 英郎 立命館大学, 国際関係学部, 助教授 (80222363)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 国際司法裁判所 / 政治的紛争 / 法律的紛争 / 裁判可能性 / 脱政治化 / イラン大使館事件 / ニカラグア事件 / 国際連合 |
Research Abstract |
国際司法裁判所において、被告国家により政治的紛争の抗弁が提出された事件の分析を中心に行った。主たる対象は、イラン大使館事件とニカラグア事件であった。この両方の事件において、裁判所は、紛争の政治的理由を根拠にして裁判可能性を否定することはなかった。裁判所によれば、国際紛争は、政治的コンテキストの中で生じるのが通常であり、政治的側面を有していても、法律的側面については裁判可能であると判示したのであった。法と政治の峻別を認めたのである。しかし、法と政治を峻別(脱政治化)することは、本来、付託合意という形で、当事者である国家によって行われるべき政治的過程である。したがって、特に被告国家は、裁判所による脱政治化には、強い嫌悪を示すことになる。それが欠席裁判に至るのである。また、法と政治は密接不可分に関連しており、裁判所による脱政治化は、政治的側面を切り離すというよりも、政治的側面を無視し、法的判断を示すことでしかない。したがって、イラン事件における人質行為の動機や、ニカラグア事件における機雷封鎖の必要性は裁判所の判断し得ない事項となる。しかし、裁判所によって下された判断は、法的判断であり、政治的考慮を含まないからこそ、国際社会に説得力をもちうるものであることを検証した。イラン事件においても、ニカラグア事件においても、最終的には、被告国家は裁判所の判断を無視することはできなかった。それは、裁判所判決が国際世論だけではなく、被告国家の国内世論をも喚起することに役立ったからなのである。今後も、国際司法裁判所の判例分析を続けるとともに、国際連合内における司法機関と政治的機関の関係について検討課題とする。国際紛争解決においては、両社の協働関係が有益であるからである。
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Report
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Research Products
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