Research Abstract |
メタロチオネインは,Znなどの重金属に結合する蛋白質であり,近年本蛋白質の核内における機能が注目されている。本研究では,ラット下垂体細胞株であるMtT/SにE2.INSおよびEGFを複合添加し,in situ hybridization法によるGHおよびPRLmRNA発現と免疫染色によるメタロチオネイン発現を経時的に比較した。 メタロチオネインは,3種ホルモン添加後18時間まで対照群と同様にほとんど発現していなかったが,24時間目で急激に発現し(P<0.001).約40%の細胞が陽性像を示した。しかも,メタロチオネイン陽性細胞のうちの約80%において核のみにその存在が認められた。GHmRNA陽性細胞は3種ホルモン添加前には約60%に存在したが,添加後24時間から有意に(P<0.01)減少し,72時間では20%以下に減少した。一方,PRLmRNA陽性細胞は添加前にほとんど認められなかったが,添加後24時間から有意に(P<0.05)増加し,72時間には約5%の細胞が陽性像を示した。以上の結果は,核内に発現したメタロチオネインがホルモン遺伝子発現に関与する可能性を示唆するものである。
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