Research Abstract |
[対象]Athetoid型脳性麻痺患者4名(男4 40-55歳)で,頚椎症性脊髄症をきたし,はじめ筋解離術を行い,その後,脊柱管拡大術を行い,術前後の経過が明らかなものである。 [方法]1.術前,頚部の運動のVHSビデオ記録と,頚部筋からの表面電極同時記録を行った。頚部の運動と筋の発火様式を観察し,更に1%リドカインによる神経ブロックを副神経の各筋枝に行って,その発火様式の変化から付随運動を生じている主動筋を同定し,被解離筋を決めた。術後は,筋の発火様式を上記検査で経時的に追跡した。2.術式は後頭部に馬蹄鉄型皮切で進入し,胸鎖乳突筋,僧帽筋,頭板状筋を後〜側頭骨から骨膜下に解離した。一例は胸鎖乳突筋のみの解離を行った。 [結果]1.全症例において,術前の神経ブロック効果と筋解離術後の変化は類似し,対応する胸鎖乳突筋と僧帽筋の不随意性発火は減少したのに対し,随意性発火は保たれた。2.術後,Athctoid筋の不随運動が減少し,随意筋力は20%程度の減少に留まった。 [考察]筋伸張反射の活動変化をもたらす要因として,Ia入力,アルファ運動ニューロン,ガンマ運動ニューロンを介するものが考えられる。筋解離術は,筋短縮による形態学的変化で筋紡錘の感受性の低下からIa入力の低下をしめす。神経ブロックは,Ia入力,アルファ運動ニューロン,ガンマ運動ニューロンの活動の低下をしめす。神経ブロックは,Ia入力,アルファ運動ニューロン,ガンマ運動ニューロンでの活動の低下を生じる。両者共に,アルファ運動ニューロンへの末梢性入力の低下をきたす。よって,アルファ運動ニューロンの興奮性が変化し,中枢性入力に対する反応が変わるのではないかと考察した。 [結論]Athetoid筋頭蓋解離術により,Athetoid性頚部不随運動を減少させ,随意性を保つという結果が筋電図学的に得られた。Athetoid筋頭蓋解離術は,頚髄除圧の前処置のみならず,Athetoid性不随運動の制御に利用可能と思われ,今後も筋電図学的な解析を続けていく予定である。
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