Research Abstract |
炎症性サイトカイン(TNF-α)により血管内皮細胞表面のトロンボモジュリンはダウンレギュレートされる。本研究ではリドカインが上記ダウンレギュレーションにどのような影響を及ぼすか検討した。 内皮細胞表面のトロンボモジュリン抗原量をEnzyme Immuno Assayにて測定した(吸光度測定:492mm)。内皮細胞表面のトロンボモジュリン抗原量は、薬物未処理の値を100%としたときの相対的割合で示した。 結果は以下の3点である。(1)TNF-α(100ng/ml)の刺激で内皮細胞表面のトロンボモジュリン抗原量は経時的に減少した。8,16,24時間のTNF-α(100ng/ml)の刺激でトロンボモジュリン抗原量はそれぞれ50,35,20%に減少した。(2)リドカイン(0.01-3.0mM)単独では内皮細胞表面のトロンボモジュリン抗原量は変化しなかった。(3)TNF-α(100ng/ml)によるトロンボモジュリンの減少をリドカイン(>0.3mM)は抑制した。 考察として、リドカインはトロンボモジュリンの炎症性サイトカインによるダウンレギュレーションを抑制することによって、敗血症やDIC時の血栓準備状態の治療薬となりうる可能性があり、結論としてリドカインはTNF-αによるトロンボモジュリンのダウンレギュレーションを抑制することを本実験ではじめて証明した。 上記研究成果は69th International Anesthesia Research Sosciety(1995,3.10-14 Honolulu)で発表する。論文は現在、執筆中である。
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