中枢神経系の可塑性に起因する持続的疼痛に対する、全身麻酔薬の鎮痛作用の研究
Project/Area Number |
06857105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Anesthesiology/Resuscitation studies
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
後藤 隆久 帝京大学, 医学部, 助手 (00256075)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 神経可塑性 / 疼痛 / GABA / 麻酔薬 |
Research Abstract |
近年、持続性疼痛の原因として、急性疼痛による中枢神経系ニューロンの感受性亢進(central sensitization)の重要性が強調されている。今回、研究計画調書に記した様に、central sensitizationに対する全身麻酔薬の影響をラットを用いて調べた。 ラットの足底部にホルマリンを皮下注することによって誘導される疼痛は、注射直後の急性痛とその後に続く持続痛という二相性の時間経過をたどり、持続痛はcentral sensitizationによることが知られている。静脈麻酔薬のペントバルビタールをホルマリン注射前に全身投与すると、持続痛が容量依存的に抑えられ、この効果はGABA_A受容体拮抗薬ピクロトキシンの同時投与によって拮抗される。また、ペントバルビタールを急性痛が引いた後、すなわちcentral sensitizationが誘導された後に投与すると、持続痛抑制効果が著しく減弱する。一方、ベンゾジアゼピン系麻酔鎮静薬ミダゾラムは、ペントバリビタールと同様GABA_A受容体を介して持続痛を抑制するが、その効果は急性痛が引いた直後にミダゾラムを投与した場合に最も大きいという点でペントバルビタールと異なる。 以上より、ペントバルビタールとミダゾラムはいずれもGABA_A受容体を介してcentral sensitizationを抑制するが、ペントバルビタールはcentral sensitization誘導前投与が効果的で、いわゆるpreemptive analgesiaの作用を発揮するのに対し、ミダゾラムはむしろcentral sensitizationが誘導され始めてから投与した方が効果的である点が異なることが判明した。最後に、やはりGABA_A受容体作動性麻酔薬であるプロポフォールはcentral sensitizationに何ら影響しない。このように三つの異なるクラスのGABA_A受容体の多様性の現れとも考えることができる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)