Research Abstract |
遷移金属触媒による触媒的不斉合成反応において既にその優れた不斉誘起能が確立されている面不斉フェロセニルホスフィンの側鎖上に種々の官能基を自在に導入する工程を開発した。具体的にはアルデヒド,カルボキシアミド,イミンがフェロセン環上に直接置換した光学活性1-ホスフィノ-2-置換フェロセニルホスフィン2,3,6の合成を行った。 光学活性アセタール1のジアステレオトピックな位置選択的不斉リチオ化を経てホスフィノ基の導入を行い2を得た。2はさらにイミノホスフィン3へと誘導できる。2は分子内にアルデヒド,ホスフィン,2価の鉄という還元状態にある部分構造を3ケ所有するため,官能基選択性良くアルデヒドのみをカルボキシ基に酸化することは困難であった。1をリチオ化の後スタニル化し4とし,4のアルデヒド部分のみを酸化,アミド化し5を得,さにスタニル基をホスフィノ基へと変換し目的の6を得た。 導入された側鎖官能基に反応基質との水素結合や,あるいは触媒中心金属との配位結合を形成する能力をもつことが予想され,今回設計・合成したフェロセニルホスフィン2,3,6と遷移金属との錯体触媒を用いた触媒的不斉合成反応において従来にない不斉誘起機能の発現が期待できる。
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