Research Abstract |
ホスト1〜3は、L-酒石酸から誘導されたC_4,C_6単位,およびD-マンニットから誘導されたC_6単位各2本でジフェニルメタン単位2個を架橋・連結した形の大環状化合物である。1と2自体の合成法は既に著者らにより確立されており,窒素上の官能基変換により水溶性とする問題が残されていたが,酢酸残基4個を持つ1と2の誘導体が,pHのほぼ全域で水溶性であることを確認した。現在,収率の改善と精製を検討している。3については,D-マンニットからTBDMS化,O-メチル化,脱シリル化,O-メシル化,ヨード置換を経て収率約15%で合成される(2S,3R,4R,5S,)-1,6-ジヨード-2,3,4,5-テトラメトキシヘキサンと4,4'-ビス(p-トルエンスルホンアミド)ジフェニルメタンによる架橋を検討した結果,酒石酸由来の側鎖の場合と異なり,コの字型化合物まで行かずに1:1で結合したL字型化合物で止められることが判明した。現在,このL字型化合物の二量化による環形成を検討中である。 ホスト4は,D-グルコースから誘導されたC_6側鎖をジフェニルメタン単位の両端に持つ開環式化合物である。アルコール性水酸基を全てO-メチル化したD-グルコース,グルコン酸ハロゲン化物及びグルコノラクトンと,4,4´-ジアミノジフェニルメタンの縮合反応は,いずれも反応性が悪いことが判明した。そこで,アニリンと上記化合物との縮合反応を経て,N,N-ジアルキルアニリン誘導体とし,これをホルマリンと縮合させてジフェニルメタン骨格をあとから構築する方法に変更して漸く,標品を得た。現在,収率の改善と精製を検討している。
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