Research Abstract |
分散染料(C.I.Disperse Violet 1)によるナイロン6布状基質の泡沫染色において,泡沫形成時の空気流量が,泡沫の流動速度,泡沫中の染料濃度,泡倍率,気泡の平均直径,気泡の移動数など,泡沫の各種物性におよぼす影響を調査し,拡散の境界層の厚さや平衡染着量を指標とした染色性との関係について検討した. その結果,空気流量の増加は,Plateau境界の移動速度と移動数の増加という泡沫染色に有利な相乗効果を生み,その増加とともに急激に拡散の境界層の厚さを減少させると考えられる.泡沫染色において,空気流量を増加させることは,平衡染着量に影響を与えることなく,基質表面における液流を活発にするため,染色性の向上にきわめて有効な手段といえる. 今回の補助金は,主としてパーソナルコンピュータレベルでの画像解析のため,その高速化,出力環境の整備,画像処理アプリケーションソフトの高能力化に使用したが,これにより顕微鏡ビデオ装置で得られたPlateau境界内の液流についての観察が,静止画ではあるものの可能となり,前述の空気流量の増加の影響を裏付けることができた. 今後は,速度論的な検討へと研究を発展させるとともに,平面的に捉えていたPlateau境界内での液流を,泡沫内部に形成されるPlateau境界ネットワーク間での液流として捉え,より立体的な部分へと議論の場を広げる必要がある.
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