Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
1.京都大学医学部附属病院を受診した統合失調症患者、前頭葉損傷患者、健常被験者を対象に、構造的脳画像撮像、社会認知課題を施行した。 (1)統合失調症の社会障害の一つに、前頭葉機能低下の影響がこれまで考えられている。本研究では、前頭葉に損傷を呈する脳損傷患者と比較することで、統合失調症の社会認知障害がどれほど前頭葉機能低下として説明しうるかを検討した。結果、社会文脈中の他者の情動状態を認知する能力は両患者群で低下していた。しかし、他者表情から情動強度を認知する課題では、統合失調症患者群のみ成績低下を認めた。よって、統合失調症患者の社会認知能力障害は、前頭葉機能低下に依存する部分もあるが、その他の脳領域(特に扁桃体)の機能障害も影響を及ぼしていることを論じた。(Yamada et al.,European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience,2009) (2)拡散MRIにより、統合失調症患者の白質異方性の強さ(FA)と社会認知機能との関連を検討した。結果、左半球後頭葉白質と脳梁後部のFA減少が社会認知能力低下と関連があることが示された。このことから、統合失調症の社会認知障害は、脳領域間の離断によっても生じていることが考えられた(Miyata,Yamada,Namiki,et (3)前頭葉眼高面に、3テスラMR Iを用いて初めて確認できるほどの小さい損傷領域を持つ患者の社会行動障害、社会認知課題を施行した。たとえ損傷が小さいものであっても、社会行動に及ぼす影響は大きいことを論じた。(Namiki,Yamada,Yoshida,et al.,Neurocase,2008) 2.シカゴ大学にて共感に関する実験を行った(Yamada & Decety,Pain 2009)。 (1)女学生100名を対象に、プライミンクを用いて提示した単語の知覚レベルの閾値を調査した。 (2)上で得られた閾値結果を基に、女学生33名を対象に、情動語を閾値下提示し、潜在的情動処理が他者の痛み表情を検出する際にどう影響を及ぼすかを検討した。他者の痛み表情を目にすると観察者は、自動的に共感反応が生じるとこれまでの研究で考えられてきた。しかし進化論的観点からは、痛み表情は、観察者側に痛みに対する恐怖・回避反応を喚起することが考えられる。これら2つの矛盾する特性を本研究では検討した。潜在的不快情動処理が痛み検出を促すこと結果を得たことから、他者の痛み表現は、観察者側に回避反応を生じさせることが示唆された。これまで共感研究で考えられていた他者の痛みへの自動的共感反応について異論を唱えた点で新しい発見である。
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