Project/Area Number |
06J05804
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Geometry
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
張 庚瑜 (2006, 2008) Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
張 康瑜 (2007) Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2006 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 結び目 / crosscap数 / 種数 / 結び目同境 / 同境crosscap数 / 4次元種数 / Khovanov不変量 / 結び目Floerホモロジー / Khovanovホモロジー |
Research Abstract |
2008年4月から9月特別研究員辞退までの間、博士論文のまとめや研究結果の発表などに力を入れておりました. 4月にデンマーク・オーフス大学の「トポロジーとモジュライ空間の量子化センター」(Center for the Topology and Quantization of Moduli Spaces)において、'Concordance Crosscap Number of a Knot'と題した発表を行いました.また、7月に中国・大連理工大学の雷逢春教授に招待され、小研究集会「Low dimensional Topology」にて、初心者の学生を対象にし、結び目のcrosscap数についての全体講演を行いました. ここでいうcrosscap数というのは、結び目(3次元球面の中に埋め込まれた円周)を境界とする、向き付けられない曲面の最小の1次元Betti数のことです.また、concordanceとは結び目同境の意味で、2つの結び目が3次元球面と単位区間の直積空間の中に埋め込まれた円環の境界になっているときに同値とみなした同値類のことです.ですから'concordance crosscap number'(同境crosscap数)は、結び目同境という同値類の下でのcrosscap数の最小を表します.これは、4次元crosscap数(4次元球体内で張れる向き付けられない曲面の最小1次元Betti数)とよく似た概念です.結び目Kのcrosscap数をγ(K)、4次元crsosscap数をγ*(K),同境crosscap数をγc(K)と書くことにすると、定義から不等号「γ*(K)≦γc(K)≦γ(K)」が成り立ちます.私は、これらの不等号の等号が成り立たないことを、具体例を無限個与えることで示しました. 上述の3種類のcrosscap数の定義で、「向き付けられない」を「向き付ける」に替えると、よく知られた結び目の種数、4次元種数、同境種数になり、これまでにその性質や計算方法がよく研究されてきました.特に、近年結び目Floerホモロジーという2重次数を持つホモロジー理論(その「次数付き」オイラー標数がAlexander多項式を与えることから、Alexander多項式の圏化と呼ばれています)を利用すると、結び目の種数は原理的には厳密に計算可能であることが知られています.また,Jones多項式の圏化であるKhovanov不変量を用いて、4次元種数に関する難問であったMilnor予想が組み合わせ的に解決されました(ゲージ理論を使った証明は知られていました). これに対して、crosscap数に関する研究は数えるほどしかなく、私の研究はこの方面での先駆けとなりうるものだと信じています、特に、同境crosscap数については、結び目同境理論の世界的権威である米国・Indiana大学教授C.Livingston氏のウェブサイト「Knot Info」(韓国POSTECH准教授のJ.C.Cha氏との共同運営)にも紹介されました.また、オーフス大学におけるこの結果に関する上記の発表には、米国・Indiana大学教授K.Orr氏が出席されており、「大変に良い講演であった」との感想を私の指導教員であった村上先生から伺えたのは望外の喜びでした.
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