Project/Area Number |
06J09370
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Archaeology
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
徳留 大輔 九州大学, 大学院比較社会文化研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2006 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 威信財 / 精製土器 / 青銅器 / 二里頭文化 / 商王朝 / 社会発展段階 |
Research Abstract |
〔研究目的〕 中国初期王朝形成過程における「社会の質的変化」「集団の再編」の実体解明に向けて、物質文化の分析を通した通時的文化動態に着目し、地域集団が結びつく紐帯の原理、社会の統合化の過程を通じて地域間関係を明らかにし、中国初期王朝が出現した原因を明らかにすることを目的とする。 以上の研究目的達成のために、a)日常土器の組成を中心に地域集団を抽出する研究、b)威信財的性格を有する器物の製作技術および威信財システムの復元・検討を通した社会の統合化を明らかにする研究、c)人類史研究における初期国家形成論の比較考古学研究、d)威信財の資源・原材料の産地と遺跡の立地・景観復元をもとに、物質文化に見られる文化動態と環境・自然地理の関係が初期王朝形成に与えた影響を明らかにする研究という4つの方向性からアプローチした。平成18年度は実地調査を中心に行った。 〔調査方法〕 実測・写真撮影、分光側色計を用い、通時的・器種間における土器の色調変化のデータを収集した。 〔結果〕 土器の型式を設定でき、各器物の詳細な年代決定が可能となった。このことから、二里頭文化期では、精製土器のカテゴリー内でも精粗の差が広がることが明らかになった。特に精製の程度が高まるものは、大・中型墓に副葬され、社会的身分を示す威信財的器物になっている。さらには、二里頭文化後半段階になるにつれて、それらの器物が二里頭文化の核心地域を越えて周辺地域へ拡散している。当初、周辺地域では副葬品として使用していないが、終末期には周辺地域でも精製度の高い土器を副葬することで社会的に高い身分を示す器物へと変化している。この動態は原材料の獲得が困難な青銅器の様相とも連動していた。 つまり二里頭文化期後半から終末にかけて、二里頭文化全体の中で、それら威信財的要素をもつ器物を通じての地域間の関係が成立する威信財システムを介した社会が形成されることを明にした。
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