対話における幼児の語彙獲得-助数詞を中心として-(III)基本的な助数詞と典型性効果
Project/Area Number |
07202103
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
仲 真紀子 千葉大学, 教育学部, 助教授 (00172255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 伸子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (70017630)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 言語獲得 / 語彙獲得 / 助数詞 / 認知発達 / 対話 / 幼児 |
Research Abstract |
「個」「本」「枚」「杯」など、事物を数える基本的な助数詞について、言語的環境と認知発達の両側面から検討した。言語的環境については主に仲が、認知発達については主に内田が実験・調査を行った。 1.言語的環境:昨年度の事例研究では、母子間で助数詞の使用に同期性が見られた。このことを横断的に検討するため、実験を行った。対象は2、3、4歳児とその母親、計46組。課題は、皿(枚)、スプーン(本)、カップ(杯)、アメ(個)などが用意された模擬的なおやつ場面で、母親と幼児が事物のやりとりやカウンティングを行うというものであった。母親が子どもに対してどのような助数詞を用いるか、子どもがどのような助数詞を用いるか、母親が成人助手に対してどのような助数詞を用いるかを記録し、分析した。その結果、2歳児でも「個」や「つ」など一般的な助数詞を用いていること、また3歳から4歳になるにつれ「枚」「本」「杯」など事物ごとの助数詞の使用が増加することが明らかになった。母親は、大人に対しては一貫して事物ごとの助数詞を用いるが、子に対しては、言語レベル応じて、一般的な助数詞と事物ごとの助数詞の使用の割合を変化させる。また母親によるフィードバックには、幼児の発達に応じた変化(3歳児に対しては「つ/個」の追加、3、4歳児に対しては「個/つ」から「本」や「枚」への変換)が見られた。 2.認知発達:幼児は4歳から6歳にかけて助数詞付与のルールを抽出し、使えるようになることが、昨年度までの調査で明らかになった。本年度は事物を数える基本的助数詞について典型性の効果を検討した。対象は4、5歳児80名。課題は既知物(例えば鉛筆)や未知物(例えばオガクズ製のI字型の棒)を数えさせる産出課題と、2種の事物、例えばスプンとカップを提示し、どちらを「本」で数えるかを問う選択課題であった。その結果、4、5歳児とも既知物よりも未知物の方が産出や選択が容易であることが見出された。このことは典型性や事例の知覚的特徴の顕著さに基づいて助数詞が付与されることを示唆している。また助数詞の選択理由の適切さは、5歳代で飛躍的に増すことが示された。 以上、2〜5歳の幼児は言語的入力を受けつつ、主に知覚的特徴を手がかりとして基本的な助数詞のルールを獲得していくことが明らかになった。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)