ヒトおよびチンパンジーにおける対象操作行動と音声の発達
Project/Area Number |
07202109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
竹下 秀子 滋賀県立短期大学, 幼児教育学科, 講師 (90179630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 真介 京都大学, 総合人間学部, 助手 (60201620)
田中 杉恵 滋賀県立短期大学, 人間発達研究所, 研究員
田中 昌人 滋賀県立短期大学, 人間発達研究所, 所長
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 乳児 / チンパンジー / 対象操作行動 / 左右の機能対称性 / 定位的操作 / 音声 / 姿勢・移動運動 / 生後10か月 |
Research Abstract |
ヒトの発達が新しい質を備えてくる上で重要な生後4か月と10か月における対象操作行動に着目し、ヒト通常乳児の場合、ヒト障害児の場合、ヒトにもっとも近縁な種としてのチンパンジーの場合について、比較資料を蒐集してきた。今年度のヒト乳児を対象とした実験・観察からは、対象操作行動と音声の発達連関における5過程が、生後4か月(前年度報告)と同様、生後10か月においても把握された。すなわち、ヒトの生後10か月ごろの対象操作行動は、第1過程では、一側性の定位的調整の開始(片手にもっている積木を机上の器に出したり入れたりするなど)、第2過程では、左右の機能対称的な定位的調整(前述のような定位的調整が左右の手で同水準に行われる)、第3過程では、両手の内外の左右、上下、前後の定位的調整(手から手への持ち替えや、正中線上での自由度の高い両手の操作)、第4過程では、正中線を越えた機能的な交差対称性の成立を特徴とする。さらに、第5過程では、第4過程で成立した交差対称性が時空間を転倒した関係(内と外、過去と未来)においても成立する。相手に対して要求の音声を発したり、相手の動作を模倣するという自-他を対称化した行動は、第2過程において出現し、第4過程において確実なものになる。集団飼育のチンパンジーを対象とした実験・観察からは、ヒトの生後10か月第1過程に対応するような定位的調整は1歳台で出現し、3歳から5歳にかけて対象操作行動全体に占める定位的操作の割合が増加することがわかった。その過程でヒト生後1歳半頃に見られるような継起的な定位的調整を含む操作も出現する。ただし、チンパンジーの場合、全体としては、両手使用よりも片手使用の頻度が高く、地面や水面、木など、生育環境の表面への定位が大部分であることなど、ヒト生後10か月第1過程から第2過程への移行および第2過程から第3過程への移行に対応するとみられる過程おいて、姿勢・移動運動の制御や採食形態等、生態学的な面に制約のあることが指摘できる。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)