Project/Area Number |
07208223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
小泉 裕康 姫路工業大学, 理学部, 助手 (60240959)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ヤン-テラー結晶 / ゲージポテンシャル / 超伝導 |
Research Abstract |
ヤン-テラー結晶において、振電相互作用より生じるゲージポテンシャルがどのような影響をおよぼすか調べた。ヤン-テラー結晶はヤン-テラー変形を示すクラスターが格子点上に周期的に並んだものである。その結果、電子と格子のコヒーレントな運動によりヤン-テラー結晶は安定化しているというこたがわがった。ここでコヒーレントというのは、格子振動は格子振動に伴う電子波動関数の位相の変化の影響をうけたポテンシャルのなかを運動しているという意味である。 系がz軸方向に不変であることを仮定するとゲージポテンシャルにたいして巻き数を定義できる。この巻き数は閉曲線にそって、ヤン-テラー変形が等価な変形位置を何回まわったかに対応し、また同時に局所的なE型電子波動関数の交替が何回起こったかを表す。もしz軸方向に一様な磁場をかけると、電子波動関数の位相にはこの磁場からのものが加わる。すると格子振動と電子のコヒーレンスは失われ、コヒーレントな運動による安定化エネルギーもなくなるものと予想される。 一方、系が外部磁場Bを完全に排除したとすると、系のエネルギー密度はB^2/8πだけ大きくなる。従って、もし可能であれば、ヤン-テラー結晶では、弱い磁場に対しては、磁場の進入を許しコヒーレントな運動による安定化エネルギーを失うよりは、排除してしまったほうがエネルギー的には得である。この弱い磁場を排除するという現象は超伝導物質でみられるマイスナー効果である。 マイスナー効果を仮定するとヤン-テラー結晶でできたリングを貫く磁束がch/2eの整数倍になることが示すことができる。この結果は超伝導のBCS理論と同じ帰結であるが、これを電子のペアリングを仮定せずに導くことができる。
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