Project/Area Number |
07209202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阿知波 紀郎 九州大学, 理学部, 教授 (60027456)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1995: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 中性子スピンエコー / 中性子スピン干渉計 / 中性子光学 / ラーモア歳差回転 / 中性子前方散乱 / 中性子磁気鏡 / 中性子屈折率 / スピン関数 |
Research Abstract |
中性子スピンエコー法を用いた中性子スピン干渉実験を新たに提案し、実験した。磁場中でラーモア歳差運動を行う中性子のスピン関数は、干渉性波動関ψ↑とψ↓の重ね合わせと考えられる。スピンエコー装置の片方の歳差磁場中に200Å〜2000ÅのFe、またはパ-マロイ単層膜飽和磁気鏡を挿入し、全反射臨界角前後の入射角での透過中性子のラーモア回転の位相変化を調べた。その結果、入射角の減少につれラーモア回転シフトは増加し、全反射臨界角で発散的な増加を示した。1次元矩形核及び磁気ポテンシャルにより計算された透過中性子波動関数ψ↑とψ↓の位相の差が、磁気膜によるラーモア回転シフトの観測値と良く一致した。 全反射臨界角以下では、200Åおよび400ÅのFeおよびパ-マロイ単層膜でトンネルψ↑中性子が観測され、トンネルψ↑中性子とψ↓の重ね合わせによるスピンエコーシグナルの観測に世界で初めて成功した。入射角の減少につれて全反射臨界角でラーモアでラーモア回転シフトは最大に達し、それ以下では、入射角度の減少につれてラーモア回転数は減少し、定性的に理論値と同じ傾向を示した。さらに、トンネル状態の中性子にもラーモア回転時間を定義すれば、この観測位相差より計算した中性子のトンネル時間は、10^<-9>secであった。この方法は、波動関数の干渉を強度の干渉パターンを見るかわりに中性子スピンのラーモア回転の変化により観測するもので、新しい原理である。Fe-Ge磁気多層膜のブラッグ反射近傍のラーモア回転透過中性子の回転位相をも測定し、ブラッグ条件下で位相異常を見い出した。 この様な実験は、中性子干渉実験において要求されるビームの干渉性分割の必要なく、波動関数ψ↑とψ↓の位相差をラーモア回転シフトとして、前方散乱により行うため、波長分散に関係なく強度利得の大きい実験となる。今後、2枚磁気多層膜鏡による、ブラッグ反射ψ↑中性子を2回磁気反射により前方散乱ψ↓波と再結合する実験を行う予定である。
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