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¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
Soliton方程式の解空間の内部対称性を記述する問題は,1980年代初頭の佐藤スクールによる研究によって解明されて一応の決着を見たが,1980年代末の2次元重力の問題への応用を初め,近年その幅広い応用が見いだされ,再び注目されている.我々の研究もこの方向を目指しているが,本年度は特に物理で用いられた行列積分の手法と昨年までに得られた結果を,random matrixの固有値分布の問題に応用した.以前に論文(Phys. Lett. A194, Commun. Math. Phys. 171)でsoliton方程式(KPおよび2-D Toda Lattice hierarchies)の解空間の内部対称性の2通りの表現(vertex operatorのτへの作用による表現とOrlov-Shulman operatorのBaker-Akhiezer関数への作用による表現)の間の対応を証明したが,本年度はこの方向での研究の延長として,Mark Adler, Pierre van Moerbekeと共同で,この対応関係をあらわす恒等式で,spectral parameterの値を特殊化したものを用いて,Baker-Akhiezer関数とadjoint Baker-Akhiezer関数の積を用いて定義される“KricheverのCauchy核"と呼ばれる積分核のFredholm行列式に対して,vertex operatorを用いた“tau quotient"による表示を与えた.そしてその応用として,random matrixの固有値分布の問題に関連して定義されるある積分核のFredholm determinantの満たすべき微分方程式をTracey-Widomとは別のアプローチ,soliton理論の立場から多く求めることに成功した.その中でも簡単なものはPainleve方程式となり,Tracy-Widomの得たものと一致するが,より複雑な方程式について,その性質,Tracy-Widomのものとの関係などを調べることは,これからの課題である(Phys. Lett. A208;詳細は現在執筆中)
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