分子内硫黄配位子で安定化された有機銅化合物の合成と反応性
Project/Area Number |
07216273
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
豊田 真司 岡山理科大学, 理学部, 講師 (80207646)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 安定有機銅化合物 / 分子内硫黄配位子 / 反応性 |
Research Abstract |
分子内スルフィド硫黄配位子により安定化されたアリール銅誘導体を合成し、反応性有機銅分子の中間体モデルとしての興味から安定性・反応性を中心に化合物の性質を詳しく調べ、以下の成果を得た。 有機銅化合物の合成は有機リチウム化合物とハロゲン化銅_<(1)>の反応により行なった。オルト(アルキルチオメチル)フェニル銅は不安定で単離することはできなかったが、オルト位の置換基をアルキルチオ基にしたところ安定性が増大し相当するフェニル銅が不溶性赤茶色固体と可溶性橙色結晶の二つの安定な形態で得られた。分析データから、前者は塩を含まない単純なフェニル銅、後者はフェニル銅とハロゲン化銅_<(1)>の2:1錯体であることが判明した。両方の化合物とも固体では非常に安定であるが、溶液(懸濁液)中では徐々に分解し加水分解生成物を与える。熱分解では加水分解生成物と二重化生成物のビフェニル誘導体がほぼ同じ割合で生成した。塩化アシルとの反応では、可溶性化合物のみが交差カップリングを低収率ながら与えた。硫黄配位子の導入により反応性は低下したものの、上記の反応性は有機銅化合物に典型的なものである。また、化合物の溶解性も反応性に大きな影響を与えることがわかった。 分子内の種々の位置に配位子を導入した5種類の有機銅化合物の合成し、配位子の配置が安定性に及ぼす影響を検討した。オルトベンジル位に2個の配位子を持つフェニル銅誘導体では、2位と6位にエチルチオメチル基を持つ化合物がどうにか単離できただけであった。ペリ位にエチルチオ基をもつ1-ナフチル銅も不安定であったことを考慮すると、銅原子から5員環の位置にある硫黄配位子の安定化への寄与が小さいことがわかる。一方、オルト[2-(エチルチオ)エテルチオ]フェニル銅は安定な化合物で、溶解性が高い分配位子が1個の化合物より求電子試薬との反応性が高くなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)