Project/Area Number |
07217203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 敬 東京大学, 教養学部, 助教授 (10164211)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | ラジカル負イオン / クラスター負イオン / 光電子分光 / レーザー光脱離 |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)ラジカル負イオンの光脱離過程を利用して、中性化学種の反応では生成することが不可能な中性ラジカルや高励起状態のラジカル種を生成する経路を見つけ出す、(2)光電子分光法によって、それらラジカル種の構造に関する知見を得ることであった。そこで、中性ラジカルの前駆体となる負イオン種の生成法として、分子クラスター負イオンを反応試材に用いる方法を開発した。この方法では、クラスターに特有なエネルギー緩和過程によって反応熱を効率よく取り除くことができるため、通常のイオン-分子反応では得ることができない反応中間体イオンを生成することができた。さらに、光電子分光法を用いて、前駆体負イオンの構造について知見を得た。 実例として、(CO_2)_nとCH_3Iとの反応では、(CO_2)_nが親核試材としてCH_3Iを攻撃しO=C-O^-基が直接導入されることを見いだした。さらに、生成した負イオン[CO_2CH_3I]^-の光電子スペクトルを測定することによって、この負イオン種が[CH_3CO_2…I]^-のような電子構造を持つ新奇な電荷共鳴錯体であることを明らかにした。O^-(N_2O)_nとCH_3Iとの反応では、S_N2反応の中間体と考えられる[CH_3O…I]^-構造を持つ負イオン種、および水素引き抜き反応の中間体と考えられる[OH…CH_3I]^-構造を持つ負イオン種を得た。これらの反応中間体負イオンは紫外領域のレーザー光を吸収して容易に中性ラジカルを生成するが、そのラジカル種は中間体負イオン内での幾何構造を反映して、高励起振動状態や準安定状態にあると予想される。今後、さらに分解能の高い光電子分光法を用いてラジカル種の内部状態や構造に関する情報を得る。
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