Project/Area Number |
07218209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 正廣 大阪大学, 理学部, 助教授 (40028238)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 多価イオン / 電子捕獲 / 多重励起状態 / オージェ崩壊 |
Research Abstract |
低エネルギーの高電離イオンによる中性原子からの多電子捕獲過程を研究した。一般に多価イオンに移行する電子はイオンの励起状態に捕獲されるために多重励起状態が中間に形成され、それが光放射やオージェ電子放出などの崩壊過程を経て基底状態に緩和することになる。このような過程には電子間の相関効果が強く反映されるが、多数の電子と反応チャンネルが関与するために正確な理論計算は現在においても非常に困難である。そのために我々は価数依存性、標的依存性を実験的に調べることによってこの反応の系統性を調べることにした。 ヨウ素イオンを前年度の26価までよりさらに高電離にもっていき30価までとして、希ガス原子(Ne、Ar、Kr、Xe)を標的とした実験をおこなった。全捕獲断面積の他に、移行電子数を指定した断面積と放出オージェ電子数を指定した断面積を決定した。これら多数の実験データを整理するために、我々が導いたスケーリング則と測定断面積との比較を行った。このスケーリング則は古典的な障壁跳躍モデルから導いたもので、全断面積と部分断面積が入射イオンの価数と移行電子数j、i番目の標的電子のイオン化ポテンシャルの関数として表されることになる。我々の実験データだけでなく他のグループによるデータもこのスケーリング則で予測される断面積の20%以内に収まることを示した。 中間多重励起状態の形成と崩壊には標的の電子構造が強く反映されるので、標的を希ガス原子から金属原子に変えれば捕獲過程も崩壊過程も著しく変わったものになることが予測される。今後予定している金属原子標的での実験を行うことによってこの現象をより深く理解していけるものと考えている。
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