ペルオキシダーゼの反応過程における構造変化の結晶学的追跡
Project/Area Number |
07224207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 大阪大学, 理学部, 教授 (80032283)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | ペルオキシダーゼ / X線結晶解析 / 蛋白質の立体構造 / 動的構造 |
Research Abstract |
本研究では不完全菌Arthromyces ramosus由来のペルオキシダーゼ(ARP)をとりあげ、以下の成果を得た。 1.アンモニアの有無およびpHにより、ARPの吸収スペクトルが大きく変化することを示した。さらにpHが低い環境ではヘムが5配位構造をとり、ヘム鉄がヘム面より近位ヒスチジン側に0.19Åずれていることを明らかにした。これにより生理条件下ではARPのヘム鉄は5配位構造の高スピン状態をとっていることを示すと共に、pHが高いとアンモニアを結合することを証明した。また一般にペルオキシダーゼのヘム鉄の遠位側に見られる水分子の位置は、ヘム鉄との相互作用というよりむしろ遠位ヒスチジンのイミダゾール環の配向により決まっていることを示した。 2.ARPにI_3^-およびCN^-をヘムに結合させ、その複合体結晶の構造を高分解能で決定した。この解析結果より、I_3^-およびCN^-はヘムの遠位側に結合していることを確認した。CN^-はbent型のコンフォメーションをとり、遠位ヒスチジンと水素結合している。CN^-およびI_3^-が結合すると、遠位ヒスチジンのコンフォメーションが変化したが、チトクロム c ペルオキシダーゼがフッ素を結合したりcompound Iに変換する際に見られたようなアルギニン残基の大きな動きはなかった。CN^-が結合したARP(低スピン型)ではヘム鉄はネム面内に位置しているが、I_3^-が結合したARP(高スピン型)ではヘム鉄はヘム面から約0.2Å近位側にずれていた。 3.ペルオキシダーゼの反応過程で、活性部位のアミノ酸残基がどのように動くかを直接見るために、CO結合型のARP結晶を調製した。単色光を用いたX線解析より、ヘムの遠位側にCOと考えられる電子密度を観測した。この結晶のラウエ写真では回析点がストリークを引いていたので、CO結合型のARP結晶の調製は、レーザー光によるCOの解離の確認と共に、今後の課題である。 4.ARPはカルシウムイオンを結合しており、これまでのX線解析から推定されていた2個のカルシウム結合部位を、今回X線異常散乱法で確認した。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)