蒸気爆発に対する高温溶解物の物性値と落下形態の影響に関する研究
Project/Area Number |
07226202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 迪夫 北海道大学, 工学部, 教授 (90232272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 憲一郎 北海道大学, 工学部, 助教授 (10002015)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Keywords | Vapor Expkosino / Spontaneous Triggering / Organized Motion / Nuclear Safety / Physical Property / Heat Transfer |
Research Abstract |
シビアアクシデント時の格納容器の健全性評価の観点から、蒸気爆発の研究が行われている。原子炉システムにおいて、自発的トリガリングが生じなければ、大規模蒸気爆発への進展はあり得ない。しかし、自発的トリガリングの発生メカニズムについては、現在まで具体的な検討は殆ど行われない。 流体力学の分野では、流体ジェットは周囲流体中を落下する過程で組織的運動を引き起こし、周囲流体をジェット中に巻き込むことが知られている。この過程が普遍的であるとすれば、高温の溶融物がジェット状に水中に落下した場合には、溶融物内に冷却材を巻き込む可能性がある。すなわち、この過程で自発的トリガリングが発生する可能性がある。本研究では、トリガリングの観点から、この過程を具体的に観察した。 実験では、溶融物としてすず、亜鉛を用いた。これらの物質は、ジェットの変形のし易さを示す動粘性係数は約2倍異なるが、熱拡散率はほぼ同一の値を持つ。すずと亜鉛を用いることにより、トリガリングに対する動粘性係数の影響が明らかに出来る可能性がある。組織的運動がジェットの変形に明瞭に現われるためには、ある程度の溶融物の量が必要である。そのため本研究では、100gの溶融物を落下させた。また、溶融物の初期温度は融点からさほど高くない温度にした。これは、凝固物にジェットの変形と水との相互作用の形跡を残し、組織的運動との関係を明らかにするためである。 本研究の結果、次のことが分かった。(1)温度差のない密度差の大きい流体同士(水-Hg)の系において観察された組織的運動が蒸気相を含む2流体系(水-Sn/Zn)でも観察された。(2)組織的運動を作り出す溶融物の変形により、溶融物内に冷却材が取り込まれて、粗混合状態に至る前に、自発的なトリガリングが発生する。(3)通常自発的には水と相互作用しない(トリガリングを起こさない)亜鉛においても(2)の理由により、溶融物中に冷却材が完全にトラップされ、自発的トリガリングが発生することが確認された。(4)通常相互作用を生じない300℃以下の温度でも溶融すずの相互作用が確認された。この現象は組織的運動によりトリガリングの発生が促進されたものと解釈できる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)