分子配向を制御した多成分光合成モデルの連続電子移動
Project/Area Number |
07228232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大須賀 篤弘 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80127886)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 光合成モデル / 光合成反応中15 / ポルフィリン / 電子移動 / 電荷分離 |
Research Abstract |
光合成反応中心における光子や電子の流れを一つの有機分子上で実現すべく、ポルフィリンダイマー(D)、ポルフィリンモノマー(M)、ピロメリットイミド(Im)からなる3元系光合成モデルを合成し、モノマー部分をいろいろと変化させた。われわれが目的とする「光子と電子の流れ」とは光吸収された励起エネルギーがいったんダイマーに集光され、そこからポルフィリン色素間(この場合はダイマーとモノマーの間)の電子移動により電荷分離状態が生成し、電荷シフト反応により、長寿命電荷分離状態が生成するという一連の励起エネルギー移動および連続電子移動である。モノマー部位がβ-無置換フリーベースポルフィリン(H)の場合、H部位の電気化学的性質は正方向にシフトしており、酸化されにくく還元され易い。このモデルD-H-ImをTHF中で光照射した場合、まず(D)^+-(H)^--Imが生成し、この後(H)^-の減衰に伴い(Im)^-の吸収が立ち上がり、最終的に(D)^+-H-(Im)^-が蓄積されることがわかった。これは、ポルフィリン間の電荷分離とそれに続く電荷シフト反応という天然の光合成反応中心型の連続電子移動が明確に示された世界ではじめての例である。最終電荷分離状態生成の量子収量は0.8以上、寿命は290nsであった。一方、モノマー部が対応する亜鉛錯体(Z)場合、過渡吸収からは、^1(D)^*-Z-(Im)から(D)^+-Z-(Im)^-が直接生成しているようにみえる。中間のイオンペア、即ち(D)^+-(Z)^--Imの生成は全く観測されない。一見、DからImへの超交換機構による遠距離電子移動が進行しているようにみえるが、^1(D)^*-Z-Imと(D)^+-(Z)^--Imの平衡状態がまず生成し、不可逆な電荷シフト反応によって、最終電荷分離状態が生成すると考えることもでき、反応経路については予断を許さない。いずれにしても、モデル5ではどこを励起しても、まず励起エネルギーがダイマーに集光され、そこから長寿命電荷分離状態が見かけ上one-stepで効率良く生成することがわかった。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)