タンパク内長距離電子移動のメカニズム-エネルギーギャップ則とミクロ反応環境-
Project/Area Number |
07228266
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
伊藤 繁 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40108634)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 光合成 / 電子移動 / 反応中心 / クロロフィル / キノン / 光化学系工 |
Research Abstract |
生体の電気化学反応では、タンパク質が(a)反応分子の距離・配向を設定し、(b)構造/誘電的に不均一な反応環境を与える溶媒としてユニークな機能を発揮する。われわれは光合成植物光化学系1反応中心タンパク質内の電子移動反応の最適化機構を探り、高いエネルギー効率をもつ反応分子-溶媒系の以下の設計指針を得た。 1)最高速度を上げる方法-電子カップリング(Hrp)を大きく、距離(r)を短くする-P700^+A^-→P700^+Q^-反応は紅色細菌でのP^+BPH^-→P^+QA^-反応にくらべ、Hrpが3.7倍大きく、最高速度が一桁高い(logk=10.8in系1vs.9.3in紅色)。これは、タンパク質の減衰定数が一定(β=1.4Å^<-1>)と仮定すると、反応分子間距離(r)が系1のA-Qは短く(7.8Å)、紅色細菌のB_<PH>-QAは長い(10Å)ためと推定される。 2)反応速度を最適化する方法-ΔGとλをマッチさせる- 光化学系1も紅色細菌も、反応の自由エネルギー差(ΔG)と再配置エネルギー(λtotal=λout+λin)がほぼ一致するように反応系全体が調節され、反応速度が最大になることがわかった。(系1ではΔG=-0.3eV、紅色細菌では-0.6eV) 3)エネルギー変換効率を高める方法-タンパク質の再配置エネルギーを小さくする- 系1ではエネルギーロス(ΔG)が小さいが、高効率で超高速の反応が進む。これはA-Q周辺のタンパク質の静電気的誘電率を小さくし(εs=2.4)、再配置エネルギーがΔGに近づくようにλoutも小さく設定されているためと考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)