希土類錯体の電子状態や結合に関与するf-電子の役割りの理論的解明
Project/Area Number |
07230214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平尾 公彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70093169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 晴之 東京大学. 大学院. 工学系研究科, 助手 (90251363)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | 4f電子 / ab initio分子軌道法 / 高エネルギー密度物質 / リン酸ジェステル結合 / 加水分解反応 / セリウム / ポルフィリン / 光電子スペクトル |
Research Abstract |
本研究課題では、希土類錯体において4f電子が錯体の電子状態や結合様式に果たす役割を、abinitio分子軌道法を用いて理論的に明らかにする事を目的としている。本年度は、このことを幾つかの側面から検討するため、(1)ランタニド三塩化物LnCl3の電子状態と構造の研究、(2)希土類原子を中心金属とする高エネルギー密度物質の理論的設計、(3)リン酸ジエルテル結合の希土類による加水分解反応機構の解明、(4)希土類を含むポルフィリンの電子構造とスペクトルの計算、(5)リン酸ジフェニルの光電子スペクトルにおけるセリウムの異常性の解明、を行った。(1)ランタニド三塩化物LnCl3の中心希土類原子を系統的に変えた研究では、4f電子は配位子との結合にほとんど関与せず錯体の内側にあって原子番号の順に4f軌道を占め、故に原子と同様にフントの規則とヤーン・テラー効果によってその電子状態と構造が解明できることを明らかにした。このことは、希土類とハロゲンの錯体においてはその電子状態と構造を容易に予測し得ることを示唆する。これを利用して、分子内部にクーロン力によるエネルギーを貯蔵する高エネルギー密度物質の候補として注目されている多重負電荷をもつ錯体の設計を行った。六配位のフッ化ランタニドでは、電子状態と構造を検討した結果、半数以上の希土類原子でその錯体が安定に存在し得ることが明らかになった(2)。また、(3)リン酸ジエステルの加水分解機構の研究では、単数のセリウムイオンの関与では反応障壁の著しい減少は起こらず、複数のイオンによる協奏反応の可能性を指摘した。同時に希土類の様な擬縮退系のために本研究課題で開発した多参照摂動法を従来の分子軌道法の手法と共に用いて、(4)希土類原子を中心にしたポルフィリンの電子スペクトル、及び、セリウムを加えた溶液中に置けるリン酸ジフェニルの光電子スペクトル計算も行っている。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)