Project/Area Number |
07230237
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古賀 伸明 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (80186650)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 希土類錯体 / ポテンシャル面 / アリルサマリウム錯体 / メチルサマリウム錯体 / 非経験的分子軌道法 |
Research Abstract |
アルデヒドやケトンとアルキルランタニド錯体の反応は、Barbier型反応の素反応過程であり、有機希土類化学の重要な素反応と考えられる。また、対応するアリル錯体の反応は有機化学での有用性が期待され、精力的に実験的検討がなされている。そこで、有機ランタニド錯体の化学反応の特徴を調べるために、Cp_2SmCH_3+H_2C=O(反応1)およびCp_2Sm(C_3H_5)+H_2C=O(反応2)というモデル反応のポテンシャルエネルギープロフィールを非経験的分子軌道法を用いて計算し、電子的特性を解析した。 反応1の反応物のメチル錯体のSmは2.12の大きな正電荷を持っているため、ホルムアルデヒド錯体中間体では、配位したホルムアルデヒドはさらに分極し、カルボニル炭素上の正電荷は0.79にまで増える。Smの小さな電気陰性度のために、メチル基は-0.75の負電荷を持っているので、カルボニル炭素への求核付加が容易に起きることが予想される。Sm-C結合とくらべて0.4Åも短いSm-O結合や、63.8kcal/molという大きな発熱性は、よく知られたランタナイドと酸素の親和性の結果である。電子状態の解析の結果、SmとOとの間の大きなイオン結合性がこれらの構造的、エネルギー的特徴をもたらしていることを明らかにした。この大きな発熱性と求核付加に好都合な電荷分布とから、3.4kcal/molの低い活性化エネルギーで反応が進み、その遷移状態の構造はアルデヒド錯体中間体に近い。πアリル錯体から起きる反応2には、二つの遷移状態構造の可能性がある。4員環遷移状態(TS1)と6員環遷移状態(TS2)である。どちらでもσアリル性の寄与がみられる。特にTS2ではσアリル性は大きい。π型に近いアリル配位子を持つTS1の方が9.3kcal/mol安定であり、TS1を通る反応経路の方が有利である。
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