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¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
分子間力を駆使した生体の見事な分子組織化を学んで,分子配列を制御した結晶・組織体を設計し,機能発現システムを構築することを目的とし,金属配位能のある置換基を有するポルフィリンを合成し,その組織化を検討した。まず対面するメソ位置にN‐メチルイミダゾール基を導入したテトラエチルテトラメチルポルフィリンをトランス体の他シス体も新たに合成した。Ni錯体は4配位性で組織化されず,5配位性のZn錯体は両異性体共に二量体を与えることをUV,NMRスペクトル,分子量測定により確認した。次に中心金属を六配位性のMg錯体に変えると,シス体は濃度に関係なく二量体を与えたが,トランス体は低濃度ではほぼ完全な2量体であるのに対し,高濃度では約2.5量体までの組織化の進行を確認した。 ヒドロキノン及びその共役塩基のポルフィリン金属錯体中心への配位,ヒドロキノン分子間の水素結合を用いる組織化を検討するために,ヒドロキノン置換ポルフィリンを合成し,Mg(II),Fe(III)を導入した。Mg錯体のNMRスペクトルはヒドロキノン部位のプロトンとそれに隣接したピロールのβ-プロトンが顕著な高磁場シフトを示し,配位組織化が認められた。温度可変スペクトルでは低温でヒドロキノン部位の3つのプロトンが一様に大きな高磁場シフトを受け,組織化の進行と速やかな交換の存在を示した。またFe(III)錯体では酸性条件下では単量体であるが,アルカリ性にするとフェノラートがFeに配位組織化した構造を取ることをUV,常磁性NMRスペクトルから明らかにした。 これらイミダゾール,ヒドロキノン置換ポルフィリンの一次元カラム薄膜の電導度の測定によって,組織化の進行は電導度の向上をもたらすことを明らかにした。
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