1次元バンドを有する準2次元有機伝導体の低温基底状態と磁場応答
Project/Area Number |
07232203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 孝彦 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20241565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深瀬 哲郎 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90005900)
渡辺 洋右 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00167181)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | 有機伝導体 / スピン密度波 / 磁気トルク |
Research Abstract |
本研究の目的は、有機伝導体α-(BEDT-TTF)_2KHg(SCN)_4に見られるスピン密度波的な低温基底状態の磁場応答を調べることである。このために今年度、東北大学金属材料研究所強磁場超伝導研究センターに設置されているハイブリットマグネットと本研究費により作製した微小トルク測定装置を用いて0.5-20K,0-30Tの範囲でこの物質の磁気トルクの温度依存性、磁場依存性の測定を行った。磁気トルクは約10K以下で静磁化率の異方性の発現に対応して増加するが、増大しはじめる温度の磁場依存性は磁気抵抗でこれまで調べられてきた磁気抵抗の増大が始まる温度とは一致せず、高磁場になるにしたがって高温側に少し移動する。この温度依存性はこの物質の基底状態がスピン密度波であることを間接的に示している。Gorkov,Lebedによる磁場中でのスピン密度波転移の標準理論を有限温度に拡張した計算を行った結果、磁場中での転移温度は高磁場で高温側にずれることを確認した。転移温度以下のトルクの増大はスピン密度波転移に伴う反強磁性的帯確率の異方性に起因すると思われるが、この大きさは約8Tまでは変化しないがこれより高磁場側ではだんだん小さくなり23Tより高磁場では一見、転移温度以上の常磁性相と変わりがないようにみえる。これは8T以上では反強磁性的にオーダーしていたスピンが磁場方向に次第に向きはじめ、23T以上ではほぼ完全に印可磁場方向にそろうためであると考えられる。このような磁場トルクの結果からこれまでの提案されてきた磁場温度相図の改良を行いこれまで未知であった、高磁場での磁気的振る舞いについて明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)