分子性導体のモデルとしての低次元強相関電子系の基底状態および有限温度の理論的研究
Project/Area Number |
07232215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小形 正男 東京大学, 教養学部, 助教授 (60185501)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 分子性導体 / 低次元強相関電子系 / 朝永ラッティンジャー液体 |
Research Abstract |
本研究では、高温超伝導の研究を通して理解されつつある強相関電子系の特異なふるまいが、分子性導体ではどのように出現するのかという点を追求することが主な目的であった。高温超伝導の研究過程で開発された手法を大いに活用して、実際の分子性導体に即したモデル等を用いて基底状態での性質を調べた。 1.電子格子相互作用と電子相関両方を持つPeierls-Hubbardモデルを用い、電子数、相互作用の強さを変えたときの相図を調べた。特にPeierls転移による格子のdimerization が、電子間相互作用によってどのように変化するか調べた。弱相関の領域ではボゾン化の方法を適用し、電子数密度の関数としてdimerizationが消滅する様子を明らかにした。また強相関の領域ではU=∞での波動関数の形を仮定して同様に調べた。 2.一次元で実現すると考えられている朝永・ラッティンジャー液体を実験的に確認するためには、どのような物理量を調べればよいのか議論した。特に一次元メゾスコピック系での電気抵抗の温度・電子数依存性を調べ、朝永・ラッティンジャー液体による異常な振舞の可能性を見出した。 3.擬一次元系において、スピンと電荷の分離がどのように現れるか調べた。特にグリーン関数を摂動論によって調べ、エネルギーの関数としてどのように振舞のか明らかにした。エネルギーが高い場合にはスピンと電荷の分離がみられ、エネルギーが低い領域では通常のフェルミ液体のような振舞が見られることが明らかになった。 4.一次元電子系の基底状態は、特殊な場合を除いて明らかになっていない。そこで、変分モンテカルロ法によって、基底状態をよく再現するような変分関数を開発し、強相関領域に特有な状態を理解する助けとした。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)