複雑な分子導体の電子状態のモデルの構築と電子相関の研究
Project/Area Number |
07232220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福留 秀雄 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90025289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井川 淳志 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80243004)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | ジカルベンイオン / SDWポーラロン / カルベン間量子運動 / フェニレンの電子相関 |
Research Abstract |
メターフェニレンで重合したジカルベンはπ系にカルベンのスピンにより反強磁性的SDWが誘起されており、それによって2つのカルベンのスピンが平行になったS=2の状態が安定化されて基底状態になっている。この分子に空孔や電子をドープした実験が行われている。ドープ荷電はπ系に入りS=3/2が基底状態でS=1/2状態は熱的に致達出来ない所にある。この系は銅酸化物と似た電子構造を持っていると考えられる。 この分子のπ、n電子のモデルを作りUHF計算をおこなった。分子のねじれを考慮しπ-n共役を入れると、S=3/2と1/2状態は極めて接近し実験と合わない。ドープ荷電は一方のカルベンにピン止めされたSDWポーラロンの形をしており、S=3/2では2つのカルベンの対等性から両カルベン上のSDWポーラロンは縮退している。S=1/2ではn電子のスピンは反平行で両カルベン上のSDWポーラロンは縮退していない。 SDWポーラロンの2つのカルベン間の量子運動を共鳴ハートリー・フォック(Res HF)法で計算するとS=3/2状態はS=1/2状態に比べ約0.1eひ安定化される。しかしこの系ではベンゼン環上の電子相関が大きく、その効果をちゃんと計算する必要がある。ベンゼンの場合、荷電スピンにおいて対称性を破った1つのスレーター行列式(S det)から24コの対称操作をほどこしたS detsを重ねたRes HFで電子相関の97.7%が説明出来る。3つのベンゼンが化学結合したこの分子では対称性の低下により、42コの毒理綱S detsを変分する必要が生じる。その計算の結果S=3/2と1/2状態間でベンゼン環上の電子相関は殆んど同じで、主な差はSDWポーラロンの素子運動により生じることが示された。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)