Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
液晶相出現の必要条件の一つである「形状の異方性をもつ」という特徴だけで,多体系の効果により,どこまで液晶相および液晶相転移を記述できるかを明らかにすることを目的とし圧力一定の分子動力学(MD)法を用いてモデル分子の計算機シミュレーションを行った。 MD法によるシミュレーションを用いると液晶における分子の異方的な自己拡散や様々な特徴時間をもつ分子ゆらぎをも観察できるという利点をもち,ミクロな物性からマクロな物理量まで幅広く観測できる。ここでは,短距離斥力ポテンシャルによって記述される異方性粒子をモデルとし,異方性を持った系でも静水圧を実現する定圧分子動力学法を用いて,スメクティック液晶相,ネマティック液晶相を再現することができた。さらにネマティック液晶から等方性液体への相転移を,マクロおよびミクロな物理量の両面から考察することに成功している。液晶相では異方的な自己拡散が起こるのが特徴であるが,スメクティック相において,回転の自由度を束縛したモデルと束縛していないモデルとでは違う特徴を持つ自己拡散の様子が観察された。こうしたことは現実の液晶物質でも観察されており,今後くわしく調べてゆきたい。 今年度の研究で形状の異方性だけを考慮した単純なモデルを用いても液晶相の基本的な物性を再現することができることが示されたので,このようなシミュレーションを続けることにより,今後,液晶相転移のメカニズムなどをくわしく調べてゆきたい。
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