Project/Area Number |
07237202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 寿敏 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60212304)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 酸化物高温超伝導 / 変分モンテカルロ法 / t-J模型 / モット転移 / 相分離 |
Research Abstract |
今年度は単バンドモデルおよび多バンドモデルに対するモット転移の基礎的データを得る為に、変分モンテカルロ法により様々な基本的変分波動関数の性質を詳細に調べた。以下に主要な研究成果をまとめる。 1.1次元t-Jモデルに対して、フェルミ液体(FL)や朝永-ラティンジャー液体(TLL)の波動関数を適用して、その振る舞いを調べた。モット転移の性質を知る為に、転移近傍での電荷圧縮率X_cや帯磁率X_sの振る舞いが重要な指標となる。これらの物理量に対して、上記波動関数は、厳密な結果との比較から、J/t≦2の場合には、非常に良い波動関数となっていることが判った。即ち、ハーフフィルド近傍のX_cやX_sの臨界的振舞いは、定量的に厳密解と一致し、ブリンクマン-ライス転移とは異なる結果が得られた。 2.酸化物高温超伝導体の有力なモデルと考えられる2次元t-Jモデルに対して、FLやTLL波動関数、様々な異方性の超伝導や反強磁性の秩序を持った波動関数を適用し、モット転移(ハーフフィルド)近傍での安定性などを調べた。1次元の場合とは異なり、2次元では超対称な場合でも、グッツヴィラ-波動関数(GWF)が安定な領域は低電子密度に限られ、d_x^2_<-y>^2波超伝導状態が安定な領域は広い。ハーフフィルド極限では、FLやTLL等の金属状態は、それ自身が相分離に対して不安定である。この性質は1次元t-Jモデルばかりでなく、ハバ-ドモデルとも異なり、より深い解析が待たれる。一方、この領域でエネルギーの低いd_x^2_<-y>^2波超伝導状態や反強磁性状態は、それ自身では相分離に対して安定である。 3.d-pモデルでは、上記の金属状態の関数はそのままでは、ハーフフィルドで絶縁状態にならないことが判明した。 これらの研究成果を基にして、2次元単バンド系また多バンド系で、モット転移を記述する変分関数の構築することは、来年度以降に残された重要な研究課題である。
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