Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
誘電体粒子をイオン導電体に分散した誘電体分散型イオン導電体におけるイオン伝導度の増大現象(絶縁体分散効果)は,誘電体とイオン導電体の接触部分の界面領域が高イオン伝導化する事に起因すると考えられている.本研究では誘電体単結晶基板上のイオン導電体薄膜について界面領域のイオン伝導を調べ,誘電体分散型イオン導電体における高イオン伝導化メカニズムに関する知見を得る事を目的とした. 本研究ではイオン導電体としてAgI,基板材料として強誘電体である硫酸グリシン(TGS)単結晶を用い,界面に対し平行方法のイオン伝導を300〜425Kの温度領域,100Hz〜1MHzの周波数領域で調べた. TGS単結晶基板上のAgI薄膜において電気伝導度の増大が確認され高イオン伝導化が観測された.又,AgI薄膜のイオン伝導度は膜厚の減少にともない増大し,膜厚0.1μm以下で高イオン伝導が支配的になり界面領域が高イオン伝導化している事が判った. 一方,イオン伝導メカニズムの重要なパラメータである活性化エネルギーが膜厚の変化に対して顕著な変化を示さなかった事から,この高イオン伝導化は活性化エネルギーの変化を伴わないメカニズムに起因すると考えられる.又,AgI膜のα-β相転移温度が膜厚の減少と共に低温側にシフトする振舞が観測され,界面近傍のAgIの構造的disorder性が示唆された.更に,TGS基板の相転移,分極はAgI膜のイオン伝導に影響を与えない事が明らかとなった.この結果より,AgI膜形成後に起こる基板の『後天的』変化は界面のイオン伝導に影響を及ぼさないと考えられる.
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