Project/Area Number |
07240214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小西 哲郎 名古屋大学, 理学部, 助教授 (30211238)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | カオス / 保存系カオス / クラスター / 構造転移 / 大自由度カオス / 力学系 |
Research Abstract |
少数多体系はその小ささのために系が熱平衡にある事を自明な事とする事ができない。このため、少数多体系での構造転移の時間的な発展を理解する為には、通常の熱平衡下で起きる転移とは異なり、系に内在する力学をきちんと取り扱う必要がある。本研究では、簡単化されたモデルで力学的特性をきちんと調べつつ構造転移を調べる事で、上記の問題に新しい知見を与える事を目的とし、今年度は以下のような成果を得た。 まず、系の軌道不安定性を計算する際に、不安定さの大きさ(固有値)のみならず、不安定性の向き(固有ベクトル)も調べる事により、系の不安定性が微視的局所的(熱的)なものか、あるいは大域的協同的な物かを見分ける方法を作った。これにより、クラスター全体の揺らぎとクラスター内部の揺らぎを区別できる。 ここで調べた不安定性は、カオスの基本プロセスの一つ「引き延ばし」を形成している。もう一つの基本プロセス「折り畳み」についてはこれまで良く調べる事ができなかった。これに対して、保存系カオスの結合写像系を例として、相空間内での共役点の分布から、折り畳みが均一ではない事を示し、副産物として安定多様体を検出する事ができた。 カオスによって保存系に秩序構造を作り、その緩和過程を力学的に議論するというアプローチの応用例として、天体力学における楕円銀河の構造の問題をとりあげた。ここではモデル系における緩和過程の速度の粒子数(星の数)依存性について長年意見が分かれていたが、きちんと数値計算をし直す事により緩和過程に2種類(個々の粒子のエネルギー分配と、分布全体の変化)ある事を示し、この問題に解決を与えたと考えている。 これらの研究において、系の状態を数値的に時間発展させる計算を大量に実行する必要があったが、補助金で購入したワークステーションがその性能を十分に発揮し大いに活躍した。また、購入したソフトウェアは数式処理およびグラフ作成において数値計算をサポートし、十分役に立った。
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