分子およびクラスターにおける構造転移のメカニズムと非線形力学
Project/Area Number |
07240215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高塚 和夫 名古屋大学, 人間情報学研究科, 教授 (70154797)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | クラスター / カオス / 非エルゴード性 / 非線形力学 / 相転移 / 温度 |
Research Abstract |
我々は、Ar_7クラスターのような、同種7原子からなる、保存系としての分子の構造転移反応に見られる、非周期的(間欠的)かつ非予測的なダイナミクスの非線形力学的メカニズムとその速度過程を研究している。低エネルギーでは、この構造転移反応(異性化反応)は起きず、固相にある。一方、高エネルギーでは、非常に頻繁に構造転移を起こし、液相にあるといわれる。固相から液相に融解する過程でのエネルギー領域は、共存領域(相)と呼ばれ、相転移の原初の形態を持つ。我々は、共存相での古典力学的ダイナミクスと統計量を詳しく比較検討し、次の諸点を明らかにした。(1)共存領域での構造転移ダイナミクスは、非定常過程にあり、実際、間欠的な時系列を持つこと。(2)この過程が非エルゴード性を持つことを、直接確認するために、30次元位相空間の体積を計算し、分子の局所構造に対応するようにそれらを分割した。その結果、(ア)液相領域は、非常にエルゴード的であるが、共存領域では、実際、かなり強い非エルゴード性を持つ。(イ)共存領域のエネルギー幅は、従来リンデマン指数を基に考えられていたものよりも、かなり広いこと。(ウ)従って、我々は、共存領域はリンデマン指数などで検出できる相(長距離融解相)と、それでは検出できない相(短距離融解相)の二つの副相からなると結論した。(3)上で計算した定エネルギーの位相空間分布から、「マイクロカノニカル温度」を定義した。これを使って、構造転移の立ち上がりエネルギーが非常に高い理由、および高エネルギー領域での転移反応速度がこの「温度」の関数で記述できること等を説明した。
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Report
(1 results)
Research Products
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