Project/Area Number |
07240218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八尾 誠 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70182293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永谷 清信 京都大学, 理学部, 教務職員 (30273436)
山本 逸郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40210520)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 液体 / 金属-非金属転移 / クラスター形成 / カルコゲン混合系 / 中性子非弾性散乱 / 中性子準弾性散乱 / 振動状態密度 / 微小液滴 |
Research Abstract |
カルコゲン族に属するセレンとテルルは固相では共に結晶半導体であるが、融解後は、Seが半導体的性質を保持するのに対し、Teは金属に転移する。液体Te-Se混合系では、昇温に伴い比較的狭い温度域で半導体-金属転移が起こり、この転移温度はセレン組成と共に上昇することが知られている。また、転移領域では圧縮率・密度ゆらぎが増大することから、比較的低い密度をもつ半導体液体中に、高密度の金属クラスターが生成される可能性が指示されている。 今回我々は、融点近傍で金属-半導体転移を示すTe70Se30混合系を試料として取り上げ、半導体-金属転移に伴い鎖状構造のダイナミクスがどのように変化するかを調べるため、高エネルギー物理学研究所のパルス中性子施設を利用して非弾性散乱実験を行い、結晶および液体試料の振動状態密度を導出した。trigonal結晶では螺旋鎖状構造を反映してエネルギーの低い方から、torsion、bond-bending、bond-stretchingの3つのモードが明確に分離して現れる。液相においても半導体的性質を示す410℃では、bond-bendingとbond-stretchingモード間に明確なギャップが観測されるが、金属的性質を示す580℃ではソフトなstretchingモードの出現により、このギャッブが埋められることが判明した。更に、同じ試料について中性子準弾性散乱実験を行い、動的構造因子S(Q,ω)を求めた。水素のような強い非干渉性散乱体を含む系ではS(Q,ω)から原子拡散など個別運動を抽出することができるが、SeやTeなどの干渉性散乱体のみを含む系では協調運動が散乱を支配する。データの解析から、液体Te70Se30は温度上昇に伴い鎖状分子の長さが短くなり、密度揺らぎの緩和時間がしだいに短くなるが、鎖間相関を強く反映するS(Q)の第一極大近傍の波数をもつ密度ゆらぎについては、金属相においても比較的長い緩和時間を持つことが分かった。
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