金属とπ電子クラスターの励起状態の構造と反応性に関する理論的研究
Project/Area Number |
07240221
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
波田 雅彦 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20228480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中辻 博 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026211)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 金属クラスター / 励起状態 / SAC-CI法 / 分子軌道法 / 金属表面反応 / 触媒反応 / π電子系クラスター / 反応経路解析 |
Research Abstract |
本重点領域研究において我々は金属クラスターの電子状態や構造およびその表面における分子の解離反応に関する研究、およびπ電子系クラスターの励起状態や構造に関する研究を提案してきた。本年度の成果は以下の通りである。 白金-メタン系におけるC-H結合の光解離反応 白金表面に吸着したメタンは気相中のメタンより2eV程低エネルギーの光照射によって解離することが報告されている。この解離反応の関与する電子状態は必ずしも明確ではない。我々は、簡単なクラスターモデルを使ってこの反応の電子的過程を検討した。クラスターモデルとしてPt-CH_4を用いた。メタンが白金原子に接近することによってメタンのリドベルグ励起は1eV程度低エネルギー側へ移動する。同時にメタルからメタンへの電子移動型の励起状態がより低エネルギー側に現われる。これらの2つの励起状態のいずれにおいてもC-H結合は解離する。実験事実との対応から、後者であるメタルからメタルへの電子移動型の励起状態が実際の反応に寄与していると考えられる。さらに精度の高い計算を実行し、各励起状態の吸収強度も検討することによって明確な結論を得る予定である。 鉄-カルボニル錯体の励起状態と反応性 鉄-カルボニル錯体は光照射により解離し、その解離生成物がオレフィンの異性化反応などの触媒作用を示すことが知られている。ここでは、鉄-カルボニル錯体の励起状態を精密に計算し、光解離反応のメカニズムおよび解離後の生成物の反応性を検討した。Fe(CO)_5の励起エネルギーと吸収強度の計算値は実験のスペクトルを極めてよく再現し、スペクトルのピークはすべて許容遷移に帰属された。この結果はDanielらの結果と異なっており、以後の反応解析において精度の高い計算が必要であることを示している。今後さらに解離反応の解析を進める予定である。 SAC-CI法プログラムを高速化 我々は大きな分子系や表面のモデルとなる多数個の原子クラスターの励起状態を研究するため、SAC-CI法プログラムの改良、特に高速化、を進めている。現在、生体反応に関連したオキシヘムや、色素として用いられるフタロシアニンなどの精密な計算がルーチン的に可能となってきた。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)