Project/Area Number |
07240229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
池上 努 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (80245612)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | アルゴンクラスター / 吸収スペクトル / 分子動力学計算 / DIM法 / 溶媒効果 |
Research Abstract |
アルゴンクラスターイオンのポテンシャル面は、最安定構造のまわりでたいへん浅くなっている。また、エネルギー的にごく近いところに、多数の異性体が存在する。このため、低温でもかなりの振動励起や異性化反応が見込まれる。これらの熱運動に起因する現象を、光吸収スペクトルの計算に反映させるため、電子基底状態のポテンシャル面上で、分子動力学計算を行った。ポテンシャルエネルギーはDiatomics in Molecules法を用いて計算し、適当な初期状態から古典軌道を走らせた。古典軌道から光吸収断面積を求める公式を新たに導出し、得られた古典軌道より吸収スペクトルを計算した。計算結果を直観的に把握するため、パソコンと大容量の外部記憶装置を用いて、原子の動いている様子を可視化した。 計算で得られたスペクトルは、実験で観測されている吸収帯のレッドシフトの様子を、よく再現する。古典軌道を概観した結果、かなりの高温でもクラスター内部に3量体イオンコアが壊れずに残っていることがわかった。このイオンコア周囲の溶媒分子の空間分布と、吸収スペクトルの位置との間には、強い相関が見られる。一方、基底状態のポテンシャルエネルギー自身には、大きな変動はなく、また、クラスターからイオンコアのみを抜き出してスペクトルを計算すると、レッドシフトは見られない。以上から、イオンコアの光励起状態と周辺の溶媒原子の間の相互作用から、吸収スペクトルの位置が決定されると考えられる。この相互作用の大きさを定量的に求める公式を導出し、古典軌道計算で得られた各構造に適用した。その結果、相互作用には溶媒原子の位置に関して強い異方性があり、この異方性から吸収スペクトルのレッドシフトをうまく説明できることが明らかになった。
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