Project/Area Number |
07240232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute Fundamental Chemistry |
Principal Investigator |
田崎 秀一 財団法人基礎化学研究所, その他部局等, 研究員 (10260150)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1995: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 遷移領域 / カオス力学系 / 決定論的拡散 / フラクタル分布 / フラクタル・リペラ- / 1 / f揺らぎ |
Research Abstract |
本研究は少数多体系の反応ダイナミックスを統一的に扱える統計理論の構築を最終的な目的とし、本年度は以下の研究を行なった。1)化学反応の遷移領域とフラクタル・リペラ-:力学的な構造を考慮した遷移状態理論では反応系と生成系を分ける不安定周期軌道を横切るフラックスを統計的に評価して反応率が計算される。他方、開いたカオス系では不安定周期軌道の総体が形成するフラクタル集合(フラクタル・リペラ-)からの逃散過程が輸送現象をコントロールしていることが見い出されている。同様の関係が開放的カオス系と見なせる化学反応系においても存在するか否かを、Elskensらによって提案されたパイこね変換型の反応モデルを用いて調べた。Flux-over-Populationの計算で用いられる境界条件を満たす定常状態を構成し、遷移領域にフラクタル・リペラ-が形成され、この結果定常状態の記述にフラクタル分布が必要なこと及びフラックスが反応系の密度に比例することが見い出された。2)1/f型揺動力による反応ダイナミックス:凝縮相での反応において環境の効果は「環境=Gauss型揺らぎ源」として考慮されているが、水や少数クラスターでは分子運動に無限に長い相関時間を持つ1/f型揺らぎが存在することが指摘されている。そこで、1/f型揺動力に駆動される準安定状態からの逃散過程をシミュレーションによって調べた。この結果、準安定領域に留まる確率が、短時間領域を除いて、Stretched Exponential型緩和P(t)=P_0exp(-(κt)^z)で良く記述でき、緩和の速度を特徴付けるパラメータκがノイズのパワー・スペクトルが1/f^α型(α>0)になると急速に大きくなり、指数緩和からのずれを特徴付けるパラメータzがパワー・スペクトルが1/f型に近づくと1より小さくなることが分かった。この結果は、1/f型ノイズでは一方向への力がある時間にわたって連続的に生成され、両方向の力がほぼ交互に生成される白色ノイズに比べ準安定状態から逃散し易くなるためと考えられるが、定量的な説明を行うにはより詳しい理論が必要である。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)