Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
|
Research Abstract |
申請者らは,トランス-シス光異性化を示すアゾベンゼン誘導体を3モル%程度混合した強誘電性液晶に表面安定化状態をとらせ,しきい値以下の逆電界を印加して光照射を行うと,分極反転のしきい値が小さくなって露光部で分極反転が誘起されることを見い出した(Nature,361,428,1993)。このゲスト/ホスト系の光駆動により,光記録・光スイッチングが可能であるが,強誘電性液晶の表面安定化状態は配向膜(ポリイミド)による強制的な配向状態と考えられるので,配向膜の性質を光で変えることができればより高い効率で分極反転を誘起できるという着想に到った。本研究では,光応答部位に組み込んだポリイミド配向膜を調製し,それを用いて液晶セルを作製して配向能を調べるとともに、上述の新しい原理による強誘電性液晶の光駆動が可能か否かを検討した。ベンゾフェノンを組み込んだポリイミドを多数合成し,電極付きのガラス基板上に成膜し,これらのガラス基板でセルを作製して強誘電性液晶を封入して配向状態を調べた結果,ベンゾフェノンとビフェニル基を有するポリイミドとベンゾフェノンとシクロペンタン構造を有するポリイミドが比較的良好な配向を与えることがわかった。これらの液晶セルにバイアス電圧を印加し光照射を行ったところ,ベンゾフェノンとビフェニル基を有するポリイミドでは強誘電性液晶の分極反転が誘起され,このポリイミドが光応答性を示すことを見出した。更に,レーザーパルスを照射して応答時間を測定した結果,広い温度範囲にわたって200マイクロ秒という高速応答をすることがわかり,上記の原理で強誘電性液晶の光スイッチングが可能なことを実証した。
|