ヒトのミトコンドリアrRNAおよびtRNA遺伝子の進化機構RNA機能構造
Project/Area Number |
07250211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 雅嗣 名古屋大学, 医学部, 助教授 (60155166)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | ミトコンドリア遺伝子 / リボゾームRNA / 変異発生頻度 / 塩基配列 / 分子進化 |
Research Abstract |
【目的】ヒトのミトコンドリア遺伝子(mtDNA)は、1)組み換えなどの複雑な修復を受けず進化機構が単純である、2)コピー数が大きいため遺伝子増幅が容易でPCR産物の塩基配列を直接決定できる、3)種内変異の頻度が高く大量のデータを集積できる、などの特徴があるため、mtDNAは分子進化研究のモデル系として貴重である。本研究ではヒトの12SrRNA遺伝子の種内変異を解析し、rRNA分子進化の特徴を明らかにすることを目指した。【mRNAをコードする領域における変異】43個のヒトのmtDNAの全塩基配列(16,569bp×43=712,467bp)を決定し、mtDNAによってコードされた13種のサブユニット遺伝子の第3コドン位置(特にfour-fold degenerate sites)の塩基置換の頻度を実測した。その結果、L鎖(light strand)H鎖(heavy strand)との間で、変異発生頻度が著しく異なることを見いだした。すなわち、L鎖上のG→A塩基転位はH鎖上の9倍の頻度(G_L→A_L 20/97sites,20.6%対G_H→A_H 18/821sites、3.2%)で生じ、L鎖上のT→C塩基転移はH鎖上の1.8倍の頻度で生じていた。すなわち4種の塩基は鎖に関して非対称的な変異圧を受けていた。さらに、変異発生頻度の逆数から第3コドン位置の塩基組成を予測すると、実測値とよく一致した[A=35.0%(予測値)対39.5%(実測値),C=40.2%対42.0%,G=6.2%対5.0%,T=18.7%対13.5%]。このようにmtDNAの二本の鎖の間の塩基組成の偏りが変異の発生頻度の差に基づくことが明らかになった。【12SrRNA領域における変異】ヒトの49例の日本人個体の12SrRNA遺伝子(954塩基)において合計22カ所に変異が観察された。ステム部分の9カ所の変異のうち、U:A__-→U:G__-が3カ所、G__-:U→A__-:Uが2カ所、G:C__-→G:U__-が1カ所に観察された。合計6カ所の変異にG:U塩基対が関与していた。また非Watoson-Crick塩基対が関与する、A__-:U→C__-:U、U__-:A→C__-:A、U:U__-→U:C__-がそれぞれ1カ所に観察された。ループ部分の13カ所の変異のうち、1カ所のC→A transversionを除いた12カ所はtransitionであった。G→Aが2カ所(2/58=3.4%)に対してA→Gが3カ所(3/197=1.5%)、U→Cが4カ所(4/69=5.8%)に対してC→Uが3カ所(3/144=2.1%)に観察され、変異頻度の高い塩基は存在比が低い傾向が観察された。【結論】12SrRNA遺伝子のヒト種内変異の解析から、ステム部分でのA:U【double arrow】G:U【double arrow】G:C間の遷移においてG:U塩基対が中間体としての役割を果たしていること、ループ部分の塩基組成に変異発生頻度が反映していることが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
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