植物における光合成酸素発生系の高温環境への適応の分子機構
Project/Area Number |
07251219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
林 秀則 愛媛大学, 理学部, 教授 (60124682)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 1995: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
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Keywords | 酸素発生複合体 / 環境応答 / ラン藻 / 高温耐性 / 遺伝子クローニング / 表在性タンパク質 |
Research Abstract |
植物は高温環境に適応すると、高温に対してより安定な酸素発生を示すようになる。これまでの研究によって、高温で生育したラン藻、Synechococcus PCC7002は酸性発生系の高温耐性を獲得していること、獲得された高温耐性が単離されたチライコイド膜においても保持されていること、およびチラコイド膜に含まれる低電位型のチトクロームc550が獲得された高温耐性を保持するのに不可欠であることが明らかにされてきた。しかしこのチトクロームc550は単独ではチラコイド膜に高温耐性を付与できない。そこでチトクロームc550以外で酸素発生系の高温耐性に関与する物質の同定とその遺伝子のクローニングを試みた。 25℃で生育したSynechococcus PCC7002のチラコイド膜における酸素発生は36℃の高温処理によって50%失活する。チラコイド膜を0.1%Triton X-100で処理した後チトクロームc550を再構成させても酸素発生の熱失活温度はほとんど変化しない。一方この再構成を行う際に40℃で生育したSynechococcus PCC7002のチラコイド膜から0.1%Triton X-100処理によって遊離した成分を同時に加えておくと、熱失活温度が40℃に上昇する。このように25℃で生育した細胞のチラコイド膜に酸素発生の高温耐性を新たに付与する物質の存在が確認された。チラコイド膜から遊離した成分を分画し、それぞれの高温耐性に対する効果を検討した結果、一つの候補として13kDaのタンパク質が同定された。その遺伝子をクローニングし、塩基配列を決定した結果、このタンパク質は138アミノ酸残基からなる前駆体として合成され、N端側に42残基のシグナルペプチドを伴っていると推定された。成熟部のアミノ酸配列は好熱性ラン藻で見つかっている光化学系II複合体の表在性9-kDaタンパク質と相同性が高い。このようにラン藻の光合成の高温耐性と関連が強いとして同定されたタンパク質の前駆体にはいずれもシグナルペプチドが存在し、これらのタンパク質がチラコイド内腔側から光化学系II複合体と相互作用することが高温耐性に重要であると推測される。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)